国内商品先物市場の主要商品を巡る好機【フィリップ証券】

■金先物と白金先物の動きに好機

大阪取引所に上場する金先物と白金(プラチナ)先物(期近・標準物)の過去8年の終値推移を見ると、金先物価格を白金先物価格で割った金・白金倍率は8年前の1.2~1.3倍近辺から一貫して上昇。今年3/21の2.43倍はコロナ禍の2020年3/23の2.38倍を超えて過去最高水準となった。

投資や宝飾品等多岐にわたる需要がある金に対し、白金は自動車や医療器具など工業用需要が約6割を占めて需要が不安定なことが金より価格が安い理由とされる。他方、供給面で金と比べて産出量が少ないことから白金が金を上回っても不思議はない。「白金先物買建て・金先物売建て」のサヤ取り手法がよく知られるところ、NEXT FUNDS日経・JPX白金指数連動型上場投信<1682>といった証券投資の割安買いも検討されよう。

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■車排ガス規制強化と白金・パラジウム

大阪取引所に上場する白金(プラチナ)先物(期近・標準物)とパラジウム先物(同)の過去8年の終値推移は、金先物価格を白金先物価格で割った金・白金倍率はパラジウム高騰を受けて8年前の1.8倍から20年に0.3倍近辺まで低下。その後足元0.9倍近辺まで上昇傾向だ。

自動車触媒装置に使われる白金族の金属(PGM)は主に白金、パラジウム、ロジウム。ディーゼル車には主にプラチナが、ガソリン車にはパラジウムが使われる。この傾向は次第に変わりつつあり、ガソリン車にもパラジウムの代わりにプラチナを使う動きが増えてきている。白金は貴金属として金に対しては割安感を強める一方、触媒装置として対パラジウムでは優位性を高めている。白金先物買建て/パラジウム先物売建てが当面は有効な局面が続くのだろうか。

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■TOCOM原油先物の限月カーブ

国内商品先物は金先物が1万円/gの大台を超えて史上最高値を更新中となるなか、TOCOMの原油先物も1/4の6700円台/klから約1000円上昇している。

原油先物は通常、保管コストを考慮すると期先が期近より高い「コンタンゴ」が正常と考えられるなか、期近の方が期先よりも価格が高い「バックワーデーション」が鮮明だ。これは突発的な材料で期近物の価格が跳ね上がった時に起きる現象であり、「OPECプラス」の一部が原油の自主減産を6月末まで延長したことなどがその「材料」に相当するとみられる。右下がり曲線となった限月カーブは25年4月限を見ると1ヵ月前よりもフラット化している。フラット化が進み、いずれノーマルな状態に戻ると見るならば「期近売り・期先買い」といった限月間スプレッド取引に収益機会があるかもしれない。

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フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)
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