為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、日米金融政策にらみ152円台トライも

[ドル・円]
【今週の概況】
■日銀マイナス金利解除観測でドルは上げ渋る

今週のドル・円はやや伸び悩んだ。2月27日発表の日本の1月コア消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びを記録したこと、日本銀行の高田審議委員は29日に行われた経済懇談会で「2%物価目標実現がようやく見通せる状況になってきた」との見方を伝えたこと受けて、日本銀行は3月にもマイナス金利政策を解除するとの見方が広がり、リスク選好的なドル買い・円売りは一服した。日銀はマイナス金利解除後も緩和的な金融環境を維持する可能性は高いとの見方で150円85銭まで買われたものの、150円台後半で顧客筋などのドル売りが観測されており、29日の欧米市場で一時149円21銭まで値を下げた。

3月1日のニューヨーク外為市場でドル・円は150円72銭まで買われた後、150円05銭まで下落した。2月ISM製造業景況指数が予想に反して低下し、2月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は速報値から下方修正されたことから、米長期金利は低下し、6月利下げ観測を受けたドル売りが観測された。ドル・円は150円14銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:149円21銭-150円85銭。

【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、日米金融政策にらみ152円台トライも

来週のドル・円は底堅い値動きか。日本のインフレ指標で伸びが鈍化し、金融緩和継続の思惑が広がればドル買い・円売りが強まる可能性がある。また、米国の早期利下げ観測が後退した場合、ドル選好の流れが続く見通し。

2月27日に発表された日本の1月消費者物価指数(CPI)コア指数は前年比+2.0%と市場予想を上回った。ただ、12月の+2.3%から低下している。2月CPIの先行指標となる東京都区部CPIが低下した場合、日本銀行の緩和修正期待の後退でドル買い・円売りが強まる可能性がある。日銀は金融正常化に前向きな見解を示し、今月開催の金融政策決定会合でマイナス金利は解除されるとの見方が高まっている。ただ、3月発表の2月全国CPIコア指数は前年比+2%を下回る可能性もあり、マイナス金利解除は4月以降とのシナリオもある。一方、米国の1月コアPCE価格指数は前年比+2.8%と市場予想と一致したが、伸びは前回から低下した。ただ、インフレ抑制のペースは緩慢で、米2月CPIが次の注目材料となろう。

ドル・円相場は日本政府による為替介入ゾーンに接近しており、ドルへの下押し圧力が強まるだろう。ただ、米国の利下げ開始時期は後ずれし、150円を中心に足場固めの展開に。目先的に節目の152円を試す場面も想定したい。

【日・2月東京都区部消費者物価コア指数】(3月5日発表予定)
3月5日発表の2月東京都区部消費者物価コア指数は、1月実績を下回る可能性がある。全国CPIの先行指標として注目され、市場予想を下回った場合、円売り要因になりやすい。

【米・2月雇用統計】(3月8日発表予定)
3月8日発表の2月米雇用統計は1月が予想外に強かったことから、反動により弱含む可能性もあろう。1月は失業率が3.7%、非農業部門雇用者数は前月比+35.3万人、平均時給は前年比+4.5%。

予想レンジ:149円00銭-152円00銭

《FA》