為替週間見通し:ドルは弱含みか、米利上げシナリオ見直しや景況感悪化で

【今週の概況】
■米インフレ緩和でリスク回避の円買い強まる

今週のドル・円は下落。週初に143円01銭まで買われたが、7月12日発表の6月米消費者物価指数(CPI)と13日発表の6月生産者物価指数の伸びは市場予想を下回り、インフレ緩和の思惑が浮上した。同時に年内2回の追加利上げ観測は後退し、長期金利の低下を意識したリスク回避のドル売り・円買いが活発となった。日本銀行は今月開催の金融政策決定会合で金融緩和策の修正について議論するとの見方が浮上したことも、ドル売り・円買いの取引拡大の一因となった。ドル・円は14日の東京市場で一時137円25銭まで下落する場面があった。

14日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時139円16銭まで反発した。7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値や同指数の1年期待インフレ率が予想以上に上昇したため、早期利下げ観測は後退し、リスク回避のドル売りは縮小した。ただ、年内2回の追加利上げの可能性は低いとの見方は変わらず、ドル・円は139円台前半で上げ渋り、138円80銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:137円25銭-143円01銭。

【来週の見通し】
■ドルは弱含みか、米利上げシナリオ見直しや景況感悪化で

来週のドル・円は弱含みか。米インフレ指標の鈍化を受け、連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めシナリオ修正の思惑からドル売りが優勢となった。今月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合での追加利上げは完全に織り込まれたが、金融引き締め長期化への期待は後退した。FRB内では年内2回の利上げで調整を進めているもようだが、市場では7月が最後との見方が広がっている。このため、FRBのタカ派方針緩和を見込んだドル売りに振れやすい地合いが続くだろう。

7月18日発表の6月小売売上高は改善が期待されるものの、20日発表の7月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)はさえない数値になると予想され、リスク回避のドル売り要因になりやすい。本格化する企業決算の内容も一部で材料視されそうだ。銀行破たんの影響などで企業業績が圧迫されていた場合、将来的な景気後退(リセッション)への警戒が強まり、株安・ドル安の展開が想定される。

【米・6月小売売上高】(18日発表予定)
7月18日の6月小売売上高は前月比+0.5%と、前月の+0.3%から改善する見通し。市場予想に沿った内容なら27日発表の4-6月期国内総生産(GDP)速報値のプラス成長が期待され、ドル買い要因に。

【米・7月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)】(20日発表予定)
7月20日発表の7月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は-10.2と、前月の-13.7から小幅改善が予想される。ただ、マイナスは続くと予想され、製造業の景況感の悪化を懸念した金利安・ドル安の要因になりやすい。

予想レンジ:136円50銭-140円50銭

《FA》