米国株式市場見通し:主要企業決算や小売売上高に注目

引き続き金融をはじめ主要企業の決算に注目だ。消費動向を判断する上で小売売上高にも注目したい。6月小売売上高は前月から伸びが拡大する見込み。高インフレにもかかわらず消費は依然底堅く、景気を支援している。経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まっており、仮に景気後退に入るにしても2024年になると予想されており、時期は先送りされ、警戒感は後退しつつある。一方、消費が想定以上に底堅いと連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げを長引かせる可能性が高まる点には注意が必要だ。パウエル議長をはじめ、FRBはコアサービスの鈍化の遅さを利上げの理由として挙げている。

6月CPIでは、FRBが注視してきた住宅とエネルギーを除いたサービス業CPIが前年同月比4%上昇と2021年来の低い伸びに鈍化した。これは当局にとって朗報だろう。投資家の間では7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの追加利上げを実施したのち、利上げサイクルを終了するとの見方が強まりつつある。今後の経済やインフレの展開にもよるが、FRBの利上げサイクルが終了に近づいていることが明確になりつつあることは相場のプラス材料になるだろう。

銀行は高金利、景気後退、規制強化のリスクに直面している。金融規制担当のFRBのバー副議長は資産1000億ドルを超える大手・中堅銀行に対し、より多くの資本確保を求める複数の規制措置を計画していることを明らかにした。ストレステストの結果では、対象となった全ての金融機関が通過し、金融市場の強さが再表明されたが、自社株買いを発表した金融機関は少なく、業績の低迷に備えているようだ。

経済指標では、6月ニューヨーク連銀製造業景気指数(17日)、6月小売売上高、6月鉱工業生産・設備稼働率、5月企業在庫、NAHB住宅市場指数(18日)、6月建設許可件数・住宅着工件数(19日)、週次失業保険申請件数(20日)、などが予定されている。

主要企業決算では、金融ではモルガン・スタンレー、チャールズ・シュワブ、銀行のバンク・オブ・アメリカ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(18日)、ゴールドマン・サックス(19日)、また、クレジットカード会社のキャピタル・ワン・ファイナンシャル(20日)、アメリカン・エクスプレス(21日)、そのほか、コンピューター・ソリューションのIBM、動画配信のネットフリックス、電気自動車メーカーのテスラ(19日)、貨物輸送会社CSX、住宅建設会社のDRホートン、ヘルスケア製品メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソン(20日)、などが予定されている。

チャールズ・シュワブは3月初旬の中堅銀破綻の影響で預金が減少するなど、一時業績悪化が危ぶまれたが、その後は信頼を回復しつつある。決算でさらに健全性を証明できるかに注目だ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》