投資家の意識が急速に下に傾き易くなっている点は警戒

米株式市場は本日から2024年相場がスタートしたが、軟調なスタートを切っている。2023年の米株式市場は大盛況で年を終えたが、株価指数はまだ最高値圏にあり、市場は上値に慎重になっている雰囲気も垣間見られる。そのような中で、投資家の意識が急速に下に傾き易くなっている点は警戒される。

地政学リスクでは、ウクライナ戦争はなお先行きが見えず、中東情勢も依然緊迫化している。米中対立も悪化したままだ。イスラエルとハマスの紛争がイランやサウジにまで飛び火すれば、世界的な原油供給の混乱はさらに深刻になる。エネルギー価格高騰が全体の株価を押し上げることはない。

一方、経済のファンダメンタルズへのリスクもある。市場は今年のFRBの利下げ開始を確信し、短期金融市場では3月開始をかなりの確率で織り込んでいる。行き過ぎとの声も絶えない中で、今週発表される米雇用統計などの米雇用指標やFOMC議事録などが、市場の見方を正当化すると期待されているようだ。

問題は、現在の米株式市場がこれらすべてが上手く行くことを想定して値付けされており、最高値圏にある点だ。高値警戒感も出ている中で、いずれかのリスクが悪化すれば、投資家の意識が一旦、急速に下に傾き易くなっている点は要注意ではある。