ユーロ週間見通し:下げ渋りか、日本の為替介入の可能性残る

■弱含み、米追加利上げの可能性残る

今週のユーロ・ドルは弱含み。週初は米利上げ終了を想定したユーロ買い・米ドル売りが優勢となったが、9月ユーロ圏小売売上高の減少を受けてリスク回避のユーロ売り・米ドル買いが優勢となった。複数の地区連銀総裁や米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が状況次第で追加利上げを行う可能性があるとの見方を伝えたこともユーロ売りにつながった。取引レンジ:1.0656ドル-1.0756ドル。

「底堅い値動きか、ECB利上げ再開観測や米インフレ鈍化で

来週のユーロ・ドルは底堅い値動きか。欧州中央銀行(ECB)の利上げ再開は想定しにくいものの、金融引き締めの方針は堅持される見込み。11月14日発表の10月米消費者物価コア指数(CPI)が市場予想を下回った場合、米追加利上げ観測は後退し、ユーロ買い・米ドル売りが強まる可能性もある。

予想レンジ:1.0600ドル-1.0800ドル

■強含み、日欧金利差を意識したユーロ買い継続

今週のユーロ・円は強含み。米国の利上げサイクル終了観測の高まりを受けてリスク選好的なユーロ買い・米ドル売りが観測された。一方、日本銀行の植田総裁は「金融正常化に向けたプロセスの着手は時期尚早」など緩和策修正に慎重な見解を示したことで、日欧金利差拡大観測によるユーロ買い・円売りが優勢となり、週末前に2008年8月以来となる161円95銭までユーロ高・円安が進行した。取引レンジ:160円10銭-161円95銭。

■下げ渋りか、日本の為替介入の可能性残る

来週のユーロ・円は下げ渋りか。欧州中央銀行(ECB)が政策金利の引き上げを再開する可能性は低いが、製造業や景況感が好転すれば、ユーロ相場を下支えする要因となりそうだ。日本政府による為替介入の可能性は消えていないが、新たなユーロ売り材料が提供されない場合、ユーロ・円は160円台を維持するとみられる。

○発表予定のユーロ圏主要経済指標・注目イベント
・14日:7-9月期域内総生産改定値(速報値:前年比+0.1%)
・15日:9月鉱工業生産(8月:前月比+0.6%)

予想レンジ:159円50銭-163円50銭

《FA》