米雇用統計、労働需要が冷え込みつつある兆候を示唆

米労働省がこの日発表した10月の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が15万人増加し、市場予想の約19万人を下回った。失業率は3.9%で前月よりも1ポイント悪化した。失業率はほぼ2年ぶりの高水準に悪化し、労働需要が冷え込みつつある兆候を示している。賃金の伸びも鈍化し、平均時給は前月比0.2%、前年比4.1%の上昇に留まり、2021年半ば以降で最も小幅な伸びとなった。

民間部門の就業者数は9.9万人増加。教育・医療サービスは8.9万人増、顧客サービス・レジャーは1.9万人増加した。一方、製造業は3.5万の減少。これは主に全米自動車労組(UAW)のストライキを反映している。労使交渉はその後に暫定合意に至っていることから、影響は一時的なものになりそうだ。そのほか、運輸・倉庫業が1.21万人減、政府部門は5.1万人増加した。

今週のFOMCを経て市場では12月の追加利上げはないと見ており、90%の確率で据え置きを予想している。本日の米雇用統計はその見方を裏付ける結果となったようだ。米雇用統計を受けて短期金融市場では、利下げ開始の予想時期が従来の7月から6月に前倒ししている。ただ、パウエルFRB議長は長期に渡る高金利を強調し、利下げ期待を完全に否定している。それについてはまだまだ未知数ではある。

*米雇用統計(10月)21:30
非農業部門雇用者数(NFP)
結果 15.0万人
予想 19.0万人 前回 29.7万人(33.6万人から修正)
失業率
結果 3.9%
予想 3.8% 前回 3.8%

平均時給
結果 0.2%
予想 0.3% 前回 0.3%(0.2%から修正)(前月比)
結果 4.1%
予想 4.1% 前回 4.3%(4.2%から修正)(前年比)

民間部門雇用者数
結果 9.9万人
予想 14.5万人 前回 24.6万人(26.3万人から修正)

製造業雇用者数
結果 -3.5万人
予想 -1.0万人 前回 1.4万人(1.7万人から修正)

週平均労働時間
結果 34.3
予想 34.4 前回 34.4

労働参加率
結果 62.7%
予想 62.8% 前回 62.8%