為替週間見通し:米利上げ期待後退でドルは伸び悩みか

【今週の概況】
■米利上げ終了観測や中東情勢悪化でドル買い縮小

今週のドル・円は伸び悩み。10月24日の欧州市場で日本の為替介入に対する警戒感が高まったことや日本銀行の金融政策をめぐる関係者の発言が伝えられ、リスク回避的な米ドル売り・円買いが一時拡大した。米ドル・円は149円32銭まで下落したが、米長期金利の上昇を受けてリスク選好的な米ドル買い・円売りが活発となり、米ドル・円は25日の欧米市場で節目の150円を突破した。1ドル=150円台まで米ドル高・円安が進行したものの、26日の東京市場で円買い介入は観測されず、米ドル・円は150円78銭まで一段高となった。米国の7-9月期国内総生産(GDP)速報値は高い伸びになるとの見方もドル買いにつながった。しかしながら、26日のニューヨーク市場では米国の利上げ終了時期は近いとの見方で長期金利は反落したことから、リスク選好的な米ドル買いは縮小し、米ドル・円は150円台前半まで売られる展開となった。

27日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時149円46銭まで下落。この日発表された米国の9月コアPCE価格指数は前年比+3.7%と市場予想と一致し、インフレ緩和を示す結果となったことから、米長期金利は弱含み、リスク選好的な米ドル買いは縮小した。取引終盤にはイスラエル軍報道官が地上戦の拡大を表明したことを受けて、リスク回避の円買いも観測された。米ドル・円は149円66銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:149円32銭-150円78銭。

【来週の見通し】
■米利上げ期待後退でドルは伸び悩みか

来週のドル・円は上げ渋りか。米連邦公開市場委員会(FOMC)でインフレ抑止に前向きな姿勢が予想されるものの、年内利上げ観測は後退。中東情勢の悪化も懸念されそうだ。10月30-31日開催の日本銀行金融政策決定会合では、インフレ見通しの上方修正などが見込まれ、緩和修正に向けた動きと受け止められた場合、リスク選好的なドル買い・円売りは後退する可能性がある。

米連邦準備制度理事会(FRB)は10月31日-11月1日のFOMC会合で政策金利を据え置く公算だが、市場はすでに織り込み済み。金融当局者はインフレ抑止に前向きのため、堅調な米経済指標をにらんでドル売りは限定的となりそうだ。その後発表される米経済指標で雇用統計は強弱まちまちと予想されている。このうち非農業部門雇用者数と平均時給が前回を下回る内容ならFRBのタカ派スタンスを弱める要因となり、ドル売りが強まる展開となろう。欧州中央銀行(ECB)など主要中銀の利上げ休止を受けて安全資産であるドルが相対的に好まれる可能性はあるものの、FRBの年内利上げの可能性は低下しており、主要通貨は対ドルで底堅く推移する見通し。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(10月31日-11月1日開催予定)
FRBは10月31日-11月1日にFOMCを開催し、インフレ抑止の姿勢を維持する公算。年内1回の利上げが見込まれるものの、11月に利上げ見送りならドル売り材料となりそうだ。

【米・10月雇用統計】(11月3日発表予定)
11月3日発表予定の米10月雇用統計では失業率は3.8%、非農業部門雇用者数は前月比+16.8万人程度、平均時給は前年比+4.0%と予想され、強弱まちまちなら金利高・ドル高は限定的に。

予想レンジ:148円00銭-151円00銭

《FA》