株価指数先物【引け後】 日銀総裁の発言がショートカバーに向かわせる

大阪9月限
日経225先物 32980 +600 (+1.85%)
TOPIX先物 2285.0 +39.0 (+1.73%)

日経225先物(9月限)は前日比600円高の3万2980円で取引を終了。寄り付きは3万2840円とシカゴ日経平均先物清算値(3万2740円)を上回り、買い先行で始まった。買い一巡後は戻り売りに押され、前場中盤に3万2640円まで上げ幅を縮める場面も見られた。しかし、円相場が1ドル=139円前半と円安に振れて推移するなかで押し目買い意欲は強く、3万2800円を挟んで保ち合いが続いた。

後場の取引開始直後に再び日中の安値水準に接近したが、前場に付けた安値は下回らず底堅さが意識された。G20に参加した植田和男・日銀総裁の記者会見での発言が伝わると、139円半ばまで円安が進み、日経225先物は終盤にかけて上げ幅を拡大。心理的な上値抵抗線だった25日移動平均線を突破し、本日の高値で引けた。

日経225先物は25日線接近で上値を抑えられる動きが見られていたが、植田総裁は記者会見で「日銀が目指している2%の物価目標実現には距離がある」との認識を示したうえで、「粘り強く金融緩和を続ける姿勢も変わらない」と発言。市場では来週の金融政策決定会合での政策修正観測が燻っていたこともあり、金融政策の変更見送りを想起させる発言によって、円相場はカバーの動きとなり、日経225先物の終盤での上げ幅拡大につながったようだ。

NT倍率は先物中心限月で14.43倍だった。小幅に上昇したものの、前日の安値水準での小動きが続いた。ボリンジャーバンドの-1σと25日線によるレンジ推移であり、明確なトレンドもみられないことから、方向性を見極める必要があるだろう。

なお、日経225先物は終盤にかけて25日線を突破したことでショートカバーを誘った格好となり、ナイトセッションでは3万3040円と3万3000円を回復して始まった。その後は25日線水準で膠着をみせているが、為替市場は円高を修正する動きを見せてきており、1ドル=140円回復ともなれば、円高による資金流出を想定していたポジションがショートカバーに動く可能性がありそうだ。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀の金融政策決定会合を控え、積極的に上値を買っていくロングは期待しづらいが、ショートカバーによる押し上げは意識されよう。

手口面では、日経225先物は野村証券が1281枚、JPモルガン証券が916枚、BNPパリバ証券が763枚、大和証券が619枚の買い越しに対して、ソシエテジェネラル証券が1538枚、SBI証券が529枚、ABNクリアリン証券が468枚、ドイツ証券が448枚の売り越しだった。TOPIX先物はクレディスイス証券が1800枚、ゴールドマン証券が1568枚、大和証券が1187枚の買い越しに対して、三菱UFJ証券が1323枚、JPモルガン証券が1286枚、ソシエテジェネラル証券が1129枚の売り越しだった。