投資家は持たざるリスクを意識し、物色の矛先が広がっているとの指摘=米国株

先週は調整色が強まった米株式市場だが、投資家は株高を期待した強気オプションに賭けている。そのような中、投資家は持たざるリスクへの意識を高め、AI関連のみならず、景気に敏感な小型株や地銀株まで、上昇を期待した取引が活発化しているとの指摘が聞かれる。

AI関連についてはエヌビディア<NVDA>、インテル<INTC>、AMD<AMD>のコール・オプション(買う権利)の6月の1日平均取引高は130万枚以上に達し、月間では過去最高の取引量を記録。これはナスダックがピークに達した2021年11月以来の高揚感を上回る水準となっている。

オプション市場では悲観と楽観の尺度であるスキュー(ゆがみ)指数が2019年以降で最低水準に低下しており、これは投資家がプットよりもコールに買いを入れていることを示す。

先週は、パウエルFRB議長が利上げ継続を改めて示唆したほか、商業用不動産に対する懸念も高まったことで、こおのところの熱狂が幾分和らいだ。しかし、投資家の多くは、米経済が予想以上に持ち堪え、雇用市場は金利上昇の影響を想定以上に受けておらず、以前は慎重なスタンスを取っていた投資家でさえ、可能性を逃したくないと考え、持たざるリスクを意識しているという。

その中で、物色の矛先が変わり始めているとの指摘が出ている。米大手証券は、2000年のITバブル以降で最も物色の矛先が狭い範囲に留まっており、一部のハイテク株のみがリターンを牽引していると述べていた。しかし、株式市場は昨年秋にすでに底を打ったのではないかという見方が市場に広がりつつあり、ハイテク株から他のセクターへも物色の矛先が広がり始めているという。例えば、ここ数カ月アンダーパフォームしていた小型株のコール・オプションへの需要が急増。投資家は小型株ファンドにも資金を投入しているという。その多くは地銀株やその他、裁量消費関連株で占められている。

市場からは、米株式市場には持たざるリスクへの恐怖が戻ってきた。今後数日間、投資家は消費者信頼感やインフレに関するデータを解析し、経済の健全性を測るだろう」との声も出ている。