来週の株式相場に向けて=TOPIXは33年ぶり高値へ突き抜けるか

12日の日経平均株価は前日比261円高と大幅続伸。一時2万9400円台まで上昇し、21年11月以来1年半ぶりの水準に上昇した。

前日のNYダウは221ドル安と下落していたほか、足もとの日経平均株価の騰落レシオ(25日移動平均)は11日時点で124%の水準、今期予想PERも14倍台と一時ほどの割安感は薄れている。そのなか高値圏を駆け上がったことは、相場の強さを再認識させた。

市場の関心を集めているのが、海外投資家の動向だ。5月第1週まで海外筋は現物で6週連続買い越しとなり、この間の買い越し金額は2兆円を超えた。足もとでは、半導体株や自動車株の強さが指摘されている。東京エレクトロン<8035>は今期3割減益予想を示したが、この日は3%高となった。日産自動車<7201>やホンダ<7267>といった自動車株の上昇も注目された。これら銘柄を含め、主力株に海外投資家の買い観測が出ている。「ショートを掛けていた海外ファンドや個人投資家の買い戻しも入っているのでは」(市場関係者)とも指摘され、弱気筋が踏み上げられる形での上昇局面ともみられる。

特に、TOPIXは9日に2097まで上昇し、21年9月高値(2118)更新が目前に迫っている。この水準を抜ければ1990年8月以来、約33年ぶりの水準に躍り出る。TOPIXが先行する形で、日経平均株価が3万円を意識する展開も予想される。

気になるのは、やはりバリュエーション面での過熱感だ。市場関係者からは、来週にも騰落レシオは140近辺に上昇する可能性も指摘されている。また、日経平均3万円の水準はPER15倍台となりそうだ。更に、米国の債務上限問題や米地銀を中心とする金融システム不安の再燃も警戒される。高値警戒感も膨らむなか、一段の上値追いに走るかが今後の焦点だ。

スケジュール面では、海外で15日に米5月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に米4月小売売上高、17日に米4月住宅着工件数が発表される。18日には米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が発表されるほか、アプライド・マテリアルズ<AMAT>の決算が予定されている。

国内では17日に1~3月GDP速報値、4月訪日外客数、19日に4月消費者物価指数(CPI)が発表される。19日から21日にかけてG7広島サミットが開催される。15日には鹿島<1812>やスズキ<7269>、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などの決算が予定されており、この日で決算シーズンは一巡する。来週の日経平均株価の予想レンジは、2万8900~2万9600円前後。(岡里英幸)