米、デフォルト回避へ奔走 再び暫定引き上げを模索も

米国が史上初めてデフォルト(債務不履行)に陥る事態を回避しようと、バイデン政権や議会幹部らが対策に奔走している。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えた。米債務上限引き上げを巡る協議は行き詰まっており、早ければ6月1日にもデフォルトに陥る可能性が示されたことで、代替案探しが本格化しているという。

時間切れが迫る中でも、表向きは共和党と民主党のいずれも、これまでの立場を変えていない。共和党は債務上限の引き上げと引き換えに歳出削減を要求する一方、民主党は無条件での上限引き上げを求めている。

関係者によると、政権当局者と議会幹部は水面下で代替案を検討し始めたという。妥協点が見つかるまでの時間稼ぎとして、再び暫定対応も選択肢に含まれるという。議会が債務上限を引き上げなかった場合でも政府が支払いを継続できるような、試験的な方法も改めて検討されているという。

イエレン財務長官が今週、早ければ6月1日にもデフォルトに陥る可能性があると警告したことで、政府や議会に衝撃が走った。当局者の多くは、あと数カ月はこうした事態が訪れないと踏んでいた。

バイデン大統領は債務上限問題を協議するため、9日にホワイトハウスで開く会合に議会幹部らを招待した。バイデン大統領はこの問題を巡り2月にマッカーシー下院議長(共和)と会談したが、マッカーシー氏との協議はそれ以来になる。債務上限問題のため、イエレン財務長官は来日の日程を短縮したという。

デフォルトまでの期限が早まったことで、議員らには予算を巡る包括的な合意を交渉する余裕がなくなった可能性がある。このため、長期的な解決策ではなく、政府があと数カ月は支払いを続けられる程度に債務上限を引き上げることが1つの対応となりそうだ。