来週のドル円相場は、158円を超える水準では日本の通貨当局による為替介入が警戒され一段の上値追いには慎重となるだろう。予想レンジは1ドル=156円50銭~159円00銭。
14日まで開かれた日銀金融政策決定会合の結果に対し、市場は円売りで反応した。長期国債の買い入れを減らす具体的な計画を次回の7月会合まで先送りしたことがハト派的と受け止められ、ドル円相場は一時158円25銭と介入とみられる円急騰があった4月29日以来のドル高・円安水準をつけた。再び介入への意識が高まりそうで、一段のドル買い・円売りは抑制されそう。また、日銀の植田和男総裁が14日夕の記者会見で「長期国債の買い入れを減額する以上は相応の規模になる」との考えを示したことも円の下支えとなりそうだ。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の政策金利見通し(ドットチャート)で年内の利下げ予想回数が前回の3回から1回に減少したことや、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が記者会見で「インフレは大幅に緩和したが、依然として高すぎる」などと述べ、利下げ開始に慎重な姿勢をみせていることからドルは底堅く推移することが予想される。
なお、来週に海外で発表される主な経済指標は、17日に5月の中国小売売上高と6月の米ニューヨーク連銀製造業景気指数、18日に5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値と5月の米小売売上高、19日に4月のユーロ圏経常収支と6月の米NAHB住宅市場指数、20日に5月の米住宅着工件数と6月の米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、21日に6月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値と6月の米PMI速報値など。国内では17日に4月の機械受注、19日に5月の貿易統計、21日に5月の全国消費者物価指数(CPI)が公表される予定となっている。