大型ハイテク銘柄の決算と巨額自社株買い、同業他社への投資【フィリップ証券】

アップル<AAPL>は昨年まで毎年1-3月期決算発表時の4月末または5月上旬に巨額の自社株買いを発表していたなか、今年も5/2に過去最大規模となる1100億USDの巨額自社株買い枠設定を発表した。自社株買い発表が十分に予想された中で株価も大幅上昇で反応したことから、投資家にとっては見通しの良好な投資の好機となったと思われる。

その他の大型ハイテク株の直近の自社株買い枠追加を見ると、マイクロソフト<MSFT>が21年11月に600億ドル、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が22年3月に100億ドル、エヌビディア<NVDA>が23年8月に250億ドルを設定している。今年2月に枠を追加設定したメタ・プラットフォームズ<META>は500億ドル、4月のアルファベット<GOOGL>が700億ドルと、自社株買い枠設定額が巨額化する傾向が加速している。マイクロソフトやアマゾン、エヌビディアについても今後、大きな額の自社株買い枠追加が期待されるのではないだろうか。

大型ハイテク企業は業界の覇権を握る存在でもある。アマゾンの1-3月期決算ではオンライン店舗が前年同期比7%増収、サード・パーティ販売者向けサービスも同16%増収と、Eコマースの堅調さが窺われる。アルファベットの1-3月期決算でも、ネット広告事業が同13%増収と堅調だった。業界・市場が堅調であることがわかれば、その領域で有望とされる競合他社または有力提携先企業についても業績が堅調であることが期待されるところだ。

クラウド型ECプラットフォーム運営でアマゾンと提携関係にもあるショッピファイ<SHOP>、および広告向けソフトウエアプラットフォーム運営でウォルマート<WMT>など大手小売り企業などの顧客化を進めるトレードデスク<TTD>が5/8、それぞれ1-3月期決算を発表。ショッピファイは堅調な業績だったものの、4-6月期会社見通し(特に粗利益率)が前四半期比で悪化となることから市場の失望を誘い、8日の時間外取引で株価は大幅に下落。高い成長率を持続する上で必要な「踊り場」局面と見る余地もあろう。他方、トレードデスクは4-6月期会社見通しも、調整後EBITDAマージンが対1-3月期でも5.8ポイント上昇となったことを受けて同時間外取引で株価上昇となった。

フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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