明日の株式相場に向けて=世界を俯瞰しながら日本株を考える(その1)

きょう(9日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比128円安の3万8073円と続落。大型連休明けとなった今週は上下に激しく揺さぶられたが、結局のところは材料不在、週末のオプションSQ算出をにらんだ先物を絡めた仕掛け、というのが実体のようだ。きょうは後半に売り込まれたものの、TOPIXはしっかりプラス圏で着地し値上がり銘柄数が全体の65%を占めた。後場の崩れ足を過度に悲観すると間違える可能性がある。

市場関係者の声を聞いても強気と弱気が入り乱れている状況で、しかもいずれも決定的な根拠に乏しい。それだけ先が見えにくい相場環境といえる。ひとつ確かなことは、年初からの急騰を目の当たりに一時は「新NISA特需」を囃し今後も下値を切り上げる相場が続くというイメージがあったが、これは修正を余儀なくされたということ。一本調子とはいかないまでも「とりあえず4万円台固め」を経て、次のステージつまり年内5万円大台を目指すというシナリオは希薄化した。ネット証券大手の話では、4月に入ってからNISAの口座数が今年に入って初めて減少に転じたという。決して悪い意味で言うのではなく、“夢から醒めた”というのが現在地なのかもしれない。実際問題、今は近くて遠い4万円大台ラインをいつ、どういう形で跨いで行くのか、ということが現実的な関心事となっている。

世界を俯瞰すれば相場は決して弱くはない。欧州株式市場ではここまで英国FTSE100が最高値街道を邁進中だったが、直近は独DAXも遂に史上最高値圏に回帰した。年内の利下げ有るや無しやで一喜一憂する米国株市場とは異なり、欧州市場はECBが6月利下げに動く可能性がかなり高いとみられており、流動性相場復活への期待が募る。

一方、アジア市場に目を向ければ、不動産バブル崩壊でリスキーな経済環境が喧伝されていた中国・上海株の戻り足が鮮明だ。香港ハンセン指数もこれに歩調を合わせてにわかに上値指向に弾みがついている。ついこの間まで中国からの投資資金退避(流出)の観測がメディアを賑わしていた。少々の景気指標の改善で、潮の流れが劇的に変わるとも思えないが、もしそれが根拠であるとしたなら、中国株凋落のシナリオを底値圏で喧伝したメディアの先見性のなさは罪深いものとなる。

個別株は決算発表が佳境を迎えつつある。社数的にはあす10日をピークに来週半ばまでに集中的に開示され、15日でほぼ終了形となる。決算跨ぎで株を保有するのはなるべく避けた方が無難だが、好決算を発表した銘柄の中から日柄とチャートを吟味して改めて投資対象を選別していくというのは有効な作戦である。好実態株はそれが表面化した時に過剰に買われる傾向があるが、それが一巡した後に調整を入れても大半は下値切り上げ波動を維持しているケースが多く、いわば「買いの目印」がついたような状態となる。