米国株式市場見通し:FOMCやエヌビディアのAI会議に注目

来週は連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を開催予定で結果に注目だ。最近の経済や雇用は依然底堅く、減速の兆候はあまり見られない。さらに、インフレの鈍化ペースも停滞しており、FRBがこの会合で、政策金利を5会合連続で据え置くことがほぼ確実視されている。声明やパウエル議長会見とともに発表されるスタッフ予測に特に注目だ。また、半導体企業のエヌビディアが主催する人工知能(AI)年次会議が18-21日にかけ開催される。フアン最高経営責任者(CEO)は初日にスピーチを予定しており、相場のカタリストになる可能性があるため注目だ。もし、新製品などの発表で投資家の期待に応えられ、株価の高騰を持続させることができれば、相場全体を押し上げるだろう。

1月と2月の消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったほか、2月の卸売物価指数(PPI)も予想の2倍に加速、さらに、PPIの加速を受けて、FRBが最も注視している個人消費支出(PCE)価格指数の2月分も強い結果が予想されている。前回12月時点で金融当局者は金利予測分布図(ドット・プロット)で今年平均3回の利下げを予想していたが、19人の当局者が果たして年3回の利下げ予想を維持するかどうかに焦点をあてたい。さらに、今年だけでなく、来年の利下げ見通しを注視している市場関係者も少なくない。前回予想では、25年に1%ポイントの利下げを予想。一方で、25年の経済も潜在的水準を上回るペースでの成長の軌道にある。イエレン財務長官はインタビューで、新型コロナウイルス禍を契機としたインフレ高進や利回り上昇の前に推移していた水準に市場金利が戻る「公算は小さい」との認識を示した。

現状で利上げは終了し、次の行動は利下げと見られるが、景気が引き続き強く、インフレが目標達成するさらなる確信につながるデータは見られず、年内の利下げ開始を疑問視する投資家もいる。もし、パウエル議長が会見で、ハト派姿勢を弱め、さらに、ドット・プロットで当局者の利下げ回数の見通しが修正された場合は株式相場の上値を抑制することになりそうだ。ただ、年内の利下げ開始予想が示されれば、下値も限定的となるだろう。

経済指標では、3月NAHB住宅市場指数(18日)、2月住宅着工・建設許可件数、1月対米証券投資(19日)、週次新規失業保険申請件数、3月製造業・サービス業・総合PMI、2月景気先行指数、2月中古住宅販売件数(21日)、などが予定されている。また、FRBは19-20日にFOMCを開催。

主要企業決算では、半導体のマイクロン・テクノロジー、食品会社のゼネラル・ミルズ、オンラインペット関連製品小売りのチューイー、建設会社のKBホーム(20日)、スポーツ用品小売りのナイキ、ヨガアパレルのルルレモン・アスレティカ、運送会社のフェデックス、レストラン運営のダ―デン・レストランツ(21日)、などが予定されている。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》