米国株式市場見通し:パウエルFRB議長の議会証言や雇用統計に注目

来週は引き続き連邦準備制度理事会(FRB)の利下げの行方を探る展開の中、2月雇用統計やFRBのパウエル議長の上下両議会での半年に1度の証言に注目だ。議長は利下げにはインフレが2%目標達成に一段の確信を持つ必要があると繰り返し、時期尚早の利下げによるリスクを警告すると見られる。もし、想定外に年内の利下げの可能性に言及があれば、相場上昇要因になるだろう。大半のFRB高官は、イベントや講演での発言などから、インフレの改善により、年半ばもしくは後半にも利下げの条件が満たされると見ているようだ。連邦公開市場委員会(FOMC)の中でも影響力の強いNY連銀のウィリアムズ総裁は昨年12月FOMCで発表されたスタッフ予測通り、手始めに年内3回の利下げを協議することは理にかなっているかもしれない、と利下げの可能性を示唆している。ただ、最終的にはデータ次第と慎重だ。FRBが注目しているコアPCE価格指数は上方サプライズなく、前年比で鈍化傾向を示したものの、1月消費者物価指数(CPI)に加えパウエル議長が注目している住宅を除いたサービスコアは伸びが拡大するなど、物価圧力が依然強いことが証明された。インフレの2%達成進展の道のりは荒くなる可能性がありそうで、相場不透明感にもつながるだろう。

1月FOMCでも、FRBが景気のリスクよりもインフレ制御に依然重点を置いている姿勢が明らかになっており、もし来週発表される雇用時計で労働市場の底堅さが証明された場合、利下げの軌道は緩慢になりそうだ。逆に弱まった場合は、6月の利下げ観測が強まり、買い材料となりそうだ。同時に地銀のニューヨーク・コミュニティ・バンコープの問題はずさんな管理体制が原因で、金融システムに与えるリスクは少ないと見られているが、商業用不動産をめぐるリスクがくすぶることには警戒だ。

経済指標では、2月サービス業PMI(改定値)、1月製造業受注、2月ISM非製造業景況指数、1月耐久財受注確報値(5日)、2月ADP雇用統計、1月JOLT求人、1月卸売売上高(6日)、1月貿易収支、10-12月期非農業部門労働生産性、単位人件費、週次新規失業保険申請件数(7日)、2月雇用統計(8日)、などが予定されている。なお、FRBは6日に地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表予定。パウエル議長は6日に下院金融サービス委員会、7日に上院銀行委員会での証言を予定している。

主要企業決算では、ハイテクでは、サイバーセキュリティ製品・サービス会社のクラウドストライク(5日)半導体のブロードコムやマーベル・テクノロジー・グループ(7日)、小売では、廉価アパレルと家庭装飾品のブランドストア経営のロス・ストアーズ、ディスカウント小売のターゲット(5日)、会員制倉庫型卸売・小売会社のコストコ・ホールセール、スーパーマーケットのクローガー(7日)、などが予定されている。半導体関連企業の強い決算が続けば、相場全体を一段と押し上げる可能性もあるだろう。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》