株価指数先物 【週間展望】 ―日銀会合を受けた荒い値動きに注意

今週の日経225先物は、日米金利差縮小への思惑が高まるなか、18日~19日に開催される日銀の金融政策決定会合の結果を受けて大きく振れやすくなるだろう。日銀の植田和男総裁は12月7日、参議院財政金融委員会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言した。これをきっかけに10年債利回りが上昇し、為替市場では1ドル=141円台まで円高が進み、同日の株式市場は500円を超す急落となった。

一方、米国では12日~13日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想通り3会合連続での金利据え置きを全会一致で決定。参加者の政策金利見通しは2024年に現在の水準から0.25%の利下げ3回を見込んでいることを示した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は追加利上げの選択肢は維持しつつも、利下げは視野に入り始めていると述べた。2024年の利下げ観測が強まるなか、米長期金利が急低下し、円相場は一時1ドル=140円台に乗せた。

日経平均株価は11月20日に付けた3万3853円をピークに高値保ち合いを続け、12月8日には3万2205円まで調整した。その後は3万2500円~3万3100円辺りで推移しており、市場では積み上がっていた日米金利差を狙ったポジションを解消する動きが意識されている。日銀会合では緩和政策の維持が見込まれており、マイナス金利解除は来年後半との観測がコンセンサスであり、会合後は先回り的な動きに対するリバランスが入りやすいだろう。

ただし、植田総裁の会見を受けて政策変更時期が早まるとの見方が強まるようだと、円高の加速とともに、日米金利差を狙ったポジション解消への思惑からアルゴリズム発動によるショートが強まる可能性もある。結果判明後は先物主導での荒い値動きになりそうだ。

アク抜けからリバランスが入った場合には、足もとで上値を抑えられている25日移動平均線(3万3030円)突破から、ボリンジャーバンドの+1σが位置する3万3400円辺りが射程に入る。ただし、25日線処で上値の重さが意識される局面では、日米金利差を狙ったポジション解消への思惑が強まりやすく、75日線や-2σが位置する3万2300円が射程に入るほか、-3σが位置する3万2000円水準が警戒されそうだ。

また、今週は19日に日銀金融政策決定会合後に政策金利、植田日銀総裁記者会見、米国11月住宅着工件数、20日に11月貿易収支、11月訪日外客数、中国12月最優遇貸出金利、米国7-9月期経常収支、21日に米国7-9月期GDP確報値、米国12月フィラデルフィア連銀景況指数、米国12月コンファレンスボード消費者信頼感指数、22日に米国11月個人所得、米国11月個人消費支出(PCE)、米国11月耐久財受注、米国11月新築住宅販売件数の発表などが予定されている。特に11月のPCEではインフレの鈍化傾向を確認する格好になると考えられ、日本から米国への資金シフトが意識されやすいだろう。そのため、日経225先物は足もとで3万2500円から3万3000円辺りで保ち合いを継続するなか、3万2000円~3万3500円辺りへのレンジの広がりが見込まれる。

先週末のVIX指数は12.28に低下した。12日に11.81まで低下した後は、ロングの利益確定などから、若干リバウンドをみせる場面も見られた。ただし、下向きで推移する25日線に上値を抑えられる形状であり、米国市場ではショートカバーを誘い込みやすい状況である。

なお、先週末のNT倍率は、先物中心限月で14.12倍に上昇した。円高基調の強まりを背景に日米金利差を狙ったポジションを解消する流れとなり、バリュー株の持ち高調整に対して、指数インパクトの大きい値がさハイテク株か買われる格好となり、相対的に日経平均型優位の展開となった。引き続き為替の影響を受けやすいだろうが、20日にはマイクロン・テクノロジー<MU>の決算発表が予定されていることもあり、引き続きハイテク株への物色が強まる可能性がある。NT倍率は先週の上昇で200日線を突破し、8月以来の水準まで上昇するなか、NTロングでのスプレッド狙いに向かわせそうだ。

12月第1週(12月4日- 8日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では3週連続で売り越しており、売り越し額は598億円(11月第5週は4016億円の売り越し)だった。なお、現物は5868億円の売り越し(同3687億円の売り越し)と3週連続の売り越しであり、先物は5270億円の買い越し(同328億円の売り越し)と3週ぶりに買い越している。個人は現物と先物の合算で5370億円の買い越しで、2週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で1995億円の売り越しとなり、3週ぶりの売り越しだった。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
01月限 日経225 26325.21 TOPIX 1900.71
02月限 日経225 27779.75 TOPIX 1986.19
03月限 日経225 28377.34 TOPIX 2047.32
04月限 日経225 28519.43 TOPIX 2019.76
05月限 日経225 29235.08 TOPIX 2090.33
06月限 日経225 32018.38 TOPIX 2211.13
07月限 日経225 32484.24 TOPIX 2245.68
08月限 日経225 32013.86 TOPIX 2278.68
09月限 日経225 32921.39 TOPIX 2370.93
10月限 日経225 32360.91 TOPIX 2326.75
11月限 日経225 32454.88 TOPIX 2318.99
12月限 日経225 32639.57 TOPIX 2343.77

◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/03 12月15日 32570 33040 32430 32890 +370
23/03 12月14日 32860 33090 32420 32520 -310
23/03 12月13日 32700 33020 32690 32830 +120
23/03 12月12日 32710 33130 32690 32710 -10
23/03 12月11日 32250 32860 32140 32720 +520

◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/03 12月15日 2317.0 2338.5 2305.5 2328.0 +13.0
23/03 12月14日 2354.0 2354.5 2307.5 2315.0 -37.0
23/03 12月13日 2347.5 2360.5 2342.5 2352.0 +3.5
23/03 12月12日 2354.0 2375.0 2347.0 2348.5 -4.5
23/03 12月11日 2320.0 2359.0 2315.0 2353.0 +35.0

●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
12月15日(12月限) 32630 -260
12月14日(12月限) 32605 +85
12月13日(12月限) 32840 +10
12月12日(12月限) 32865 +155
12月11日(12月限) 33045 +325
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
12月08日 623億円 +315億円 7742億円 -2620億円
12月01日 307億円 +30億円 1兆0362億円 +1656億円
11月24日 277億円 +30億円 8706億円 +564億円
11月17日 247億円 +187億円 8141億円 +1466億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
12月13日 2575万株 -45万株 3億1587万株 +896万株
12月12日 2621万株 +46万株 3億0691万株 +1826万株
12月11日 2574万株 -110万株 2億8864万株 +152万株
12月08日 2685万株 -1840万株 2億8712万株 -1億4252万株
12月07日 4525万株 +1335万株 4億2965万株 -3834万株
12月06日 3190万株 +1320万株 4億6799万株 +3281万株
12月05日 1869万株 -47万株 4億3517万株 +6549万株
12月04日 1917万株 +955万株 3億6968万株 -1158万株
12月01日 962万株 -105万株 3億8126万株 -684万株
11月30日 1067万株 +257万株 3億8810万株 -813万株
11月29日 810万株 -332万株 3億9624万株 +834万株
11月28日 1142万株 +101万株 3億8790万株 +2956万株
11月27日 1041万株 0株 3億5833万株 +593万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
【2022年】
1月14日 701億円
1月25日 701億円
2月14日 701億円
3月07日 701億円
4月07日 701億円
5月19日 701億円
6月13日 701億円
6月17日 701億円
12月2日 701億円
【2023年】
3月13日 701億円
3月14日 701億円
10月4日 701億円