株価指数先物 【週間展望】 ―3万3000円へのバイアスが強まる可能性

今週の日経225先物は、一段のリバウンドを意識した相場展開が見込まれる。先週は週初こそ中東情勢の緊迫化などを警戒し、リスク回避の売りにより一時3万390円まで下落した。しかし、日本銀行の金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の再修正が行われたが、マイナス金利解除といった過度な政策修正への警戒が後退した。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2会合連続で利上げが見送られた。重要な金融イベントを無難に通過したことで日米ともにリバウンド基調が強まり、日経225先物は連日の上昇で11月2日には一時3万2000円を回復した。

週末3日の米国市場では、10月の雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが市場の予想を下回り、インフレ圧力が弱まったとの見方から、追加利上げ観測が後退した。米長期金利が一時4.4%台まで低下したことを受けて、NYダウ 、 S&P500が5日続伸、ナスダックは6営業日続伸とリバウンド基調が強まった。この流れを受けた日経225先物はナイトセッションで一段高となり、一時3万2350円まで上げ幅を広げる場面があった。

週明けの日経225先物は、米国株高を受けてショートカバーが先行しそうだ。2日の上昇で75日移動平均線およびボリンジャーバンドの+1σが位置する3万2000円処を突破。ナイトセッションでの一段高により、+2σが位置する3万2620円および10月12日の戻り高値3万2660円が射程に入ってくる。また、週末にオプションSQを控えていることから、足もとの急ピッチの上昇によってヘッジに絡んだリバランスに伴うショートカバーが入りやすいだろう。10月の戻り高値を捉えてくるようだと、節目の3万3000円に向けたバイアスが強まる可能性がありそうだ。

そのため、オプション権利行使価格の3万2000円から3万2625円のレンジを想定する。3万2000円に接近する局面では押し目狙いのロング対応とし、10月戻り高値を捉えてくる局面では、3万3000円を意識したショートカバー狙いのロング対応に向かわせそうだ。

ただし、主要企業の決算発表が続いており、6日には三菱重工業 <7011> [東証P]、伊藤忠商事 <8001> [東証P]、日本郵船 <9101> [東証P]、NTTデータ <9613> [東証P]、7日にエーザイ <4523> [東証P]、ダイキン工業 <6367> [東証P]、任天堂 <7974> [東証P]、8日に富士フイルムホールディングス <4901> [東証P]、リクルートホールディングス <6098> [東証P]、9日にソニーグループ <6758> [東証P]、日産自動車 <7201> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、オリンパス <7733> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、10日に資生堂 <4911> [東証P]、ブリヂストン <5108> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]などが予定されている。指数インパクトの大きい値がさ株などの反応次第では慎重姿勢が強まる展開、もしくはアク抜けから指数を押し上げてくる要因になりそうだ。

VIX指数は14.91(前日は15.66)に低下した。10月半ばに付けた直近安値15.44倍を明確に下回ってきており、リスク選好に振れやすい。方向性としては9月15日に付けた12.68辺りが目先的なターゲットとして意識されるため、戻りの鈍さが意識される局面でもショートを仕掛けづらくさせることになろう。

なお、先週末のNT倍率は先物中心限月で13.73倍に上昇した。前日に一時13.61倍まで低下したものの、決算で失望売りを浴びたアドバンテスト <6857> [東証P]が10%の上昇で日経平均株価を牽引していた。今週も指数インパクトの大きい企業の決算が続くこともあり、コンセンサスを上回る決算内容となれば、25日線が位置する13.79倍辺りが意識されてきそうであり、10月半ば以降のNT低下に対するNTショートを巻き戻す動きに向かわせそうである。

10月第4週(10月23日- 27日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続で売り越しており、売り越し額は6004億円(10月第3週は1841億円の売り越し)だった。なお、現物は594億円の買い越し(同766億円の売り越し)と2週ぶりの買い越しであり、先物は6598億円の売り越し(同1075億円の売り越し)と2週連続で売り越している。個人は現物と先物の合算で2075億円の買い越しで、2週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で1676億円の買い越しとなり、4週ぶりの買い越しだった。

経済スケジュールでは、6日に日銀金融政策決定会合議事要旨、7日に9月全世帯家計調査、中国10月貿易収支、米国9月貿易収支、8日に9月景気動向指数、米国9月卸売売上高、9日に日銀金融政策決定会合の主な意見、10月景気ウォッチャー調査、中国10月消費者物価指数(CPI)、中国10月生産者物価指数(PPI)、10日にオプションSQ、英国9月国内総生産(GDP)、米国11月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
11月限 日経225 28225.86 TOPIX 1978.52
12月限 日経225 27576.37 TOPIX 1945.27
01月限 日経225 26325.21 TOPIX 1900.71
02月限 日経225 27779.75 TOPIX 1986.19
03月限 日経225 28377.34 TOPIX 2047.32
04月限 日経225 28519.43 TOPIX 2019.76
05月限 日経225 29235.08 TOPIX 2090.33
06月限 日経225 32018.38 TOPIX 2211.13
07月限 日経225 32484.24 TOPIX 2245.68
08月限 日経225 32013.86 TOPIX 2278.68
09月限 日経225 32921.39 TOPIX 2370.93
10月限 日経225 32360.91 TOPIX 2326.75

◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/12 11月02日 31650 32090 31450 31880 +280
23/12 11月01日 30910 31640 30880 31600 +750
23/12 10月31日 30730 30980 30390 30850 +150
23/12 10月30日 30950 30990 30530 30700 -340

◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/12 11月02日 2316.5 2339.0 2304.0 2321.0 +8.5
23/12 11月01日 2258.0 2316.5 2256.0 2312.5 +58.5
23/12 10月31日 2236.0 2261.0 2221.0 2254.0 +19.5
23/12 10月30日 2250.5 2255.5 2221.5 2234.5 -21.5

●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
11月03日(12月限) 32735 +855
11月02日(12月限) 32310 +430
11月01日(12月限) 31855 +255
10月31日(12月限) 31355 +505
10月30日(12月限) 30600 -100
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
10月27日 356億円 +2億円 3984億円 -1836億円
10月20日 353億円 -123億円 5821億円 -896億円
10月13日 476億円 -346億円 6717億円 -877億円
10月06日 823億円 +548億円 7594億円 -4435億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
10月31日 1008万株 -35万株 1億7786万株 -1006万株
10月30日 1043万株 +53万株 1億8793万株 +296万株
10月27日 990万株 +71万株 1億8497万株 +588万株
10月26日 919万株 -48万株 1億7909万株 -109万株
10月25日 967万株 -251万株 1億8018万株 -209万株
10月24日 1218万株 +250万株 1億8228万株 -477万株
10月23日 968万株 +75万株 1億8705万株 -7992万株
10月20日 893万株 +129万株 2億6697万株 -645万株
10月19日 763万株 -116万株 2億7343万株 -1040万株
10月18日 880万株 -303万株 2億8383万株 +99万株
10月17日 1184万株 0万株 2億8284万株 -1234万株
10月16日 1184万株 -66万株 2億9518万株 -484万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
【2022年】
1月14日 701億円
1月25日 701億円
2月14日 701億円
3月07日 701億円
4月07日 701億円
5月19日 701億円
6月13日 701億円
6月17日 701億円
12月2日 701億円
【2023年】
3月13日 701億円
3月14日 701億円
10月4日 701億円