株価指数先物 【週間展望】 ―米金利動向を睨みつつ、押し目狙いのロング対応

今週の日経225先物は、米国経済指標の結果を受けた金利動向を睨みながらの相場展開になりそうだ。先週の米国市場では、10日に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)が2カ月連続で低い伸びだったことを受けて、インフレ沈静化への期待が高まった。しかし、11日発表の7月の米卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったことで、米金融引き締めが長引くとの懸念につながった。

これを受けて11日の米債券市場では長期金利が上昇し、ハイテク株の重荷となっている。今週は15日に7月米国小売売上高、8月ニューヨーク連銀製造業景気指数の発表が予定されているほか、16日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表されるため、これらを受けた金利の動向を注視することになろう。

バイデン米大統領は9日、中国に対し米投資を制限する大統領令に署名した。中国の軍事・監視技術の開発を抑制する取り組みとして、半導体や人工知能(AI)、量子技術が対象になるため、エヌビディア<NVDA>などハイテク企業の株価は足もとで調整が強まっている。この影響はアドバンテスト<6857> [東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株への投資を慎重にさせており、日経平均型の重荷となる可能性が警戒されている。

先週末10日の日経225先物は、寄り付き直後に3万2010円まで売られたものの、その後はショートカバーを交えて上昇し、3万2560円と高値で取引を終えた。ナイトセッションでは一時3万2810円まで買われたが、祝日取引で軟化しており、3万2450円で取引を終えた。一時25日移動平均線を上放れ、ボリンジャーバンドの+1σ(3万2850円)水準に迫る場面も見られた。バンドは収斂してきており、25日線を挟んだ煮詰まり感が意識されてきそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万2500円を中心に、3万2250円~3万2875円のレンジを想定しておきたい。

レンジ下限を下回る局面では、8月のSQ値である3万2013円86銭がサポートとして期待されることから押し目狙いのロングスタンスとし、ボリンジャーバンドの+1σを上回る局面では、節目の3万3000円狙いのロング対応に向かわせよう。米国では小売企業の決算発表が予定されているが、国内は10日に800社ほどの企業が決算を発表しており、ピークは通過した。国内外の機関投資家は決算通過で動きやすくなるため、下値の堅さが意識されやすくなるだろう。

VIX指数は14.84に低下した。先週は一時18.14まで上昇する場面も見られ、その後は落ち着いた値動きではあったが、75日線を上回って推移していた。週末の15.00割れで75日線も下回ってきており、ややリスク選好に向かわせやすい。

なお、先週末のNT倍率は先物中心限月で14.11倍だった。一時14.05倍まで低下しており、200日線を割り込んできた。同線が上値抵抗線として意識されてきており、ハイテク株に不透明感があるなか、円相場が一時1ドル=145円台に乗せるなど円安基調が強まっており、相対的にTOPIX型優位の流れになりそうである。そのため、200日線が位置する14.12倍辺りが抵抗となるようだと、5月10日に付けた13.91倍辺りを想定したNTショートによるスプレッド狙いの動きが強まってくる可能性がある。

8月第1週(7月31日-8月4日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続で売り越しており、売り越し額は3782億円(7月第4週は2557億円の売り越し)だった。なお、現物は188億円の買い越し(同738億円の買い越し)と6週連続の買い越しであり、先物は3970億円の売り越し(同3295億円の売り越し)と2週連続で売り越している。個人は現物と先物の合算で3427億円の買い越しで、2週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で1342億円の売り越しとなり、7週連続の売り越しだった。

経済スケジュールでは、15日に4-6月期実質国内総生産(GDP)、6月鉱工業生産確報値、中国7月小売売上高、中国7月鉱工業生産、中国1-7月固定資産投資、米国7月小売売上高、米国8月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米国7月輸入・輸出物価指数、16日に7月訪日外客数、米国7月住宅着工件数、米国7月鉱工業生産、FOMC(7月25~26日開催分)議事要旨、17日に7月貿易統計、6月機械受注、米国8月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米国7月コンファレンス・ボード景気先行指数、18日に7月全国消費者物価指数(CPI)、日米韓首脳会談などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
09月限 日経225 28253.40 TOPIX 1957.76
10月限 日経225 26666.31 TOPIX 1885.58
11月限 日経225 28225.86 TOPIX 1978.52
12月限 日経225 27576.37 TOPIX 1945.27
01月限 日経225 26325.21 TOPIX 1900.71
02月限 日経225 27779.75 TOPIX 1986.19
03月限 日経225 28377.34 TOPIX 2047.32
04月限 日経225 28519.43 TOPIX 2019.76
05月限 日経225 29235.08 TOPIX 2090.33
06月限 日経225 32018.38 TOPIX 2211.13
07月限 日経225 32484.24 TOPIX 2245.68
08月限 日経225 32013.86 TOPIX 2278.68

◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/09 08月10日 32280 32560 32010 32560 +340
23/09 08月09日 32280 32400 32090 32220 -70
23/09 08月08日 32330 32530 32200 32290 -30
23/09 08月07日 32110 32320 31800 32320 +170

◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/09 08月10日 2287.5 2307.5 2271.0 2307.5 +23.5
23/09 08月09日 2288.5 2292.0 2275.0 2284.0 -6.0
23/09 08月08日 2289.0 2300.5 2280.5 2290.0 +2.0
23/09 08月07日 2269.0 2288.0 2258.5 2288.0 +17.0

●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
08月11日(9月限) 32455 -105
08月10日(9月限) 32530 -30
08月09日(9月限) 32120 -100
08月08日(9月限) 32310 +20
08月07日(9月限) 32405 +85
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
08月04日 484億円 +346億円 6822億円 -3304億円
07月28日 138億円 -141億円 1兆0127億円 +734億円
07月21日 280億円 -52億円 9393億円 +497億円
07月14日 332億円 +328億円 8895億円 -2452億円
07月07日 3億円 -1208億円 1兆1347億円 -3139億円
06月30日 1212億円 +480億円 1兆4486億円 -636億円
06月23日 732億円 -235億円 1兆5123億円 +1345億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
08月08日 1297万株 +61万株 3億1944万株 +2445万株
08月07日 1235万株 +30万株 2億9498万株 +162万株
08月04日 1205万株 -269万株 2億9336万株 -1203万株
08月03日 1475万株 +123万株 3億0539万株 -9352万株
08月02日 1352万株 +881万株 3億9891万株 -4901万株
08月01日 470万株 -28万株 4億4793万株 +1426万株
07月31日 499万株 +181万株 4億3366万株 -159万株
07月28日 318万株 -643万株 4億3525万株 -2808万株
07月27日 961万株 +91万株 4億6334万株 +1339万株
07月26日 870万株 +301万株 4億4995万株 -263万株
07月25日 568万株 +152万株 4億5258万株 -403万株
07月24日 415万株 -316万株 4億5662万株 +3909万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
【2022年】
1月14日 701億円
1月25日 701億円
2月14日 701億円
3月07日 701億円
4月07日 701億円
5月19日 701億円
6月13日 701億円
6月17日 701億円
12月2日 701億円
【2023年】
3月13日 701億円
3月14日 701億円