株価指数先物 【週間展望】 ―過熱を警戒しつつも、OP権利行使価格の3万3500円~3万4500円のレンジを想定

「過熱を警戒しつつも、OP権利行使価格の3万3500円~3万4500円のレンジを想定」

今週の日経225先物は、米国の金融引き締め長期化を警戒しつつも、日米金利差を手掛かりとした海外投資家による日本株選好の流れが一段と強まりそうだ。先週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、予想通り利上げ見送りを決定した。ただし、政策金利見通しについては年内2回の利上げを見込んでおり、次回FOMCでの利上げ再開観測が高まるなか、利食いに押される場面が見られた。

15日に3万3760円まで買われた日経225先物は、翌16日には一時3万3110円まで売られた(ナイトセッションを含む)。ただし、日銀の金融政策決定会合で予想通り大規模な金融緩和政策の維持が決まると、改めて海外投資家の資金流入が強まり一時3万3700円を回復。さらに、16日の日中取引終了後のナイトセッションでは3万3950円まで買われ、節目の3万4000円に迫る場面もあった。

16日の米国市場は、リッチモンド連銀のバーキン総裁が「必要とあればさらなる利上げも辞さない」との見解を示したことで、利上げ長期化懸念が重荷となり、主要な株価指数は下落した。この流れを受けて、3万3950円まで買われた日経225先物は終盤にかけて3万3640円まで軟化し、下落に転じる場面も見られた。週明けの東京市場ではやや利食い優勢の流れが意識されやすいが、為替市場ではドル円が1ドル=141円台後半で推移していることもあり、軟化する局面では押し目狙いでロングでの対応に向かわせよう。

また、足もとで上昇ピッチが強まるなか、過熱感は警戒されやすいが、これまでもボリンジャーバンドの+2σの切り上がりに沿ったトレンドを継続しており、+2σを上回る場面では過熱を冷ましながら上昇している。現在の+2σは3万3890円辺りに位置しているが、バンドが切り上がり続けていることから、節目の3万4000円回復で達成感が一気に強まることはないだろう。+3σは3万5000円まで上昇してきたため、オプション権利行使価格の3万3500円~3万4500円辺りのレンジを想定しておきたい。

海外投資家の買いが上昇をけん引する一方、ダブルインバースなどの建玉が高水準で、国内の個人投資家などは下落を狙ったポジションを積み上げており、ショートカバーが相場を押し上げる一因でもある。過熱感が警戒されるなかでロングに傾けづらい面はあるものの、ショートは短期的な値幅取り以外は避けておきたい。ショートポジションがある程度整理され、個人投資家など国内勢のロング比率が高まった時点で、目先的なピークを迎える格好になりそうだ。

今週は、パウエルFRB議長の議会証言を控えている。FOMC後の定例記者会見とほぼ同じ内容と予想され、7月の政策決定については明言を避けると予想される。議会証言を前に利益確定が強まる局面は、押し目狙いのタイミングとなる可能性があろう。

恐怖指数と呼ばれるVIX指数は16日に13.54に低下。一時13.48まで下がり、年初来安値を更新し2020年1月以来の水準となった。米国市場で金融引き締め長期化への懸念から主要な株価指数が下落したなかでの低下であり、リスク選好に向かわせやすくなるとみられる。

先週のNT倍率は先物中心限月で14.67倍だった。14.50倍を挟んだ高値圏での保ち合いを継続するなか、これを上放れる形状となった。ボリンジャーバンドの切り上がる+1σを支持線としたトレンドを継続しており、14.75倍辺りに位置している+2σが意識されてきた。足もとでは景気敏感株など、相対的に出遅れていたセクターや銘柄への物色が見られてきたが、上昇ピッチを加速するなかで日経平均型主導の上昇を想定。21年2月高値の15.68倍に向けたNTロングが入りやすいとみておきたい。

6月第1週(6月5日-9日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では10週連続で買い越しており、買い越し額は9928億円(5月第5週は2216億円の買い越し)だった。なお、現物は9854億円の買い越し(同5352億円の買い越し)と11週連続の買い越しであり、先物は73億円の買い越し(同3136億円の売り越し)と2週ぶりに買い越している。個人は現物と先物の合算で4201億円の売り越しで、3週ぶりの売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で51億円の売り越しとなり、10週連続の売り越しだった。

主要スケジュールでは、19日に米国6月NAHB住宅市場指数、20日に4月鉱工業生産確報値、米国5月住宅着工件数、21日に日銀金融政策決定会合議事要旨(4月27・28日開催分)、通常国会会期末、パウエルFRB議長の下院金融委員会での証言、22日に6月月例経済報告、イングランド銀行(BOE)政策金利、米国1-3月経常収支、米国5月コンファレンス・ボード景気先行指数、パウエル議長の上院銀行委員会での証言、23日に5月全国消費者物価指数、米国6月製造業購買担当者景気指数(PMI)などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
07月限 日経225 26659.58 TOPIX 1890.16
08月限 日経225 28525.62 TOPIX 1963.05
09月限 日経225 28253.40 TOPIX 1957.76
10月限 日経225 26666.31 TOPIX 1885.58
11月限 日経225 28225.86 TOPIX 1978.52
12月限 日経225 27576.37 TOPIX 1945.27
01月限 日経225 26325.21 TOPIX 1900.71
02月限 日経225 27779.75 TOPIX 1986.19
03月限 日経225 28377.34 TOPIX 2047.32
04月限 日経225 28519.43 TOPIX 2019.76
05月限 日経225 29235.08 TOPIX 2090.33
06月限 日経225 32018.38 TOPIX 2211.13

◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/09 06月16日 33520 33730 33110 33650 +240
23/09 06月15日 33680 33760 33220 33410 -140
23/09 06月14日 33070 33620 33060 33550 +520
23/09 06月13日 32460 33080 32440 33030 +610
23/09 06月12日 32140 32490 32110 32420 +220

◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/09 06月16日 2297.0 2301.0 2274.0 2292.5 +0.5
23/09 06月15日 2304.5 2312.5 2280.5 2292.0 -6.0
23/09 06月14日 2265.0 2300.0 2265.0 2298.0 +35.0
23/09 06月13日 2238.5 2270.0 2238.5 2263.0 +26.5
23/09 06月12日 2215.5 2239.5 2214.5 2236.5 +17.0

●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
06月15日(9月限) 33675 +25
06月15日(9月限) 33465 +55
06月14日(9月限) 33490 -60
06月13日(9月限) 33415 +385
06月12日(9月限) 32675 +255
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
06月09日 1883億円 +331億円 1兆3453億円 +73億円
06月02日 1551億円 +444億円 1兆3379億円 +1433億円
05月26日 1107億円 +204億円 1兆1946億円 +768億円
05月19日 902億円 -31億円 1兆1177億円 +1491億円
05月12日 934億円 -2480億円 9686億円 -511億円
05月02日 3414億円 -432億円 1兆0198億円 +986億円
04月28日 3847億円 -232億円 9211億円 -504億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
06月14日 3383万株 +506万株 4億7057万株 +1412万株
06月13日 2876万株 +124万株 4億5644万株 -598万株
06月12日 2751万株 -1368万株 4億6242万株 -1046万株
06月09日 4119万株 -1892万株 4億7288万株 -1936万株
06月08日 6012万株 +1130万株 4億9225万株 -3434万株
06月07日 4882万株 -846万株 5億2660万株 -1563万株
06月06日 5729万株 +2345万株 5億4223万株 +3524万株
06月05日 3383万株 -110万株 5億0699万株 +3507万株
06月02日 3493万株 -38万株 4億7191万株 +1678万株
06月01日 3531万株 -353万株 4億5513万株 +2395万株
05月31日 3885万株 +530万株 4億3117万株 +577万株
05月30日 3354万株 +52万株 4億2540万株 -440万株
05月29日 3302万株 +685万株 4億2981万株 -673万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
【2022年】
1月14日 701億円
1月25日 701億円
2月14日 701億円
3月07日 701億円
4月07日 701億円
5月19日 701億円
6月13日 701億円
6月17日 701億円
12月2日 701億円
【2023年】
3月13日 701億円
3月14日 701億円