株価指数先物 【週間展望】 ―日米の金融政策や米経済指標が相場の大きな変動要因に

「日米の金融政策や米経済指標が相場の大きな変動要因に」

今週の日経225先物は、日米の金融政策や米経済指標が相場の大きな変動要因になりそうだ。前週はカナダ銀行(中央銀行)が3会合ぶりとなる利上げを、オーストラリア準備銀行(中銀)が2会合連続となる利上げを決めた。予想外の利上げ決定を受けて、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化観測が相場の重荷となる場面も見られた。

一方、日銀の植田和男総裁は7日、大規模な金融緩和の一環で買い入れてきた上場投資信託(ETF)に関して、「処分についての言及はまだ早い」と衆院財務金融委員会で述べた。「ETFの処分議論」といったヘッドラインにアルゴリズムが発動し、日経225先物は一時軟化する場面があった。ただし、植田総裁は9日、ETFについて持ち続けることも選択肢との見解を示しており、海外投資家による日本株選好の流れは継続しよう。

13、14日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)、15、16日に開く日銀の金融政策決定会合では政策金利は据え置かれるとみられており、楽観視は禁物だ金利上昇を警戒していた投資家の間で安心感が広がりそうだ。

このほか、米国では13日に5月の消費者物価指数(CPIコア指数)、14日に5月の卸売物価指数(PPIコア指数)の発表が予定されている。前月から伸びが鈍化すると見込まれているが、予想通りの結果となれば、FRBにさらなる利上げ停止の根拠を与えることになるとみられ、7月の利上げ再開の観測を後退させる可能性がある。

先週の日経225先物は、週明けに節目の3万2000円を回復し、7日には一時3万2710円まで買われた。その後一転して、8日に3万1410円まで売られたが、週末9日のリバウンドで3万2200円台まで戻した。テクニカル面では、ボリンジャーバンドの+2σ突破から一気に+1σまで売られた後の反発だった。

一時センチメントを冷ます場面もあったが、これまでの切り上がるボリンジャーバンドの+1σと+2σによるレンジに沿ったトレンドを継続している。+1σは3万1790円まで切り上がり、+2σは3万2790円に上昇。また、6月限の先物・オプション特別清算指数算出(SQ)に絡んだ商いは買い越し、SQ値が3万2018円38銭となったこともあり、3万2000円処は支持線として意識されよう。そのため、オプション権利行使価格の3万2000円から3万2800円辺りのレンジを想定する。

恐怖指数と呼ばれるVIX指数は9日に13.83と前日の13.65から上昇したが、一時13.50に低下する場面もあり、リスク選好が強まりやすいだろう。なお、短期VIXは11.59だったが一時8.84までに低下しており、4月以降の10.00-15.00辺りのレンジを下回る場面があった。

先週のNT倍率は先物中心限月で14.50倍だった。6日に14.56倍まで上昇した後はNTロングのリバランスが優勢となり、8日には14.44倍まで低下した。いったんは、ボリンジャーバンドの+1σを下回ったものの、その後は+1σ水準で底堅さが見られた。14.50倍を挟んだ5月下旬以降のレンジ内での推移であり、引き続き22年8月高値の14.58倍が意識される。また、同水準を上回ると、21年2月高値の15.68倍に向けたNTロングが入りやすいとみておきたい。

5月第5週(5月29日-6月2日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では9週連続で買い越しており、買い越し額は2216億円(5月第4週は5954億円の買い越し)だった。なお、現物は5352億円の買い越し(同3816億円の買い越し)と10週連続の買い越しであり、先物は3136億円の売り越し(同2137億円の買い越し)と5週ぶりに売り越している。個人は現物と先物の合算で1694億円の買い越しで、2週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で6343億円の売り越しとなり、9週連続の売り越しだった。

経済スケジュールでは、12日に5月国内企業物価指数、米国5月月次財政収支、13日に4-6月期法人企業景気予測調査、米国5月消費者物価指数、14日にFOMC(終了後に政策金利発表)、米国5月卸売物価指数、15日に4月機械受注、5月貿易統計、中国5月小売売上高、中国5月鉱工業生産、中国1-5月固定資産投資、ECB(欧州中央銀行)政策金利、米国5月小売売上高、米前週分新規失業保険申請件数、米国6月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米国6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、16日に日銀金融政策決定会合(終了後に政策金利発表)、米国6月ミシガン大学消費者態度指数などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
07月限 日経225 26659.58 TOPIX 1890.16
08月限 日経225 28525.62 TOPIX 1963.05
09月限 日経225 28253.40 TOPIX 1957.76
10月限 日経225 26666.31 TOPIX 1885.58
11月限 日経225 28225.86 TOPIX 1978.52
12月限 日経225 27576.37 TOPIX 1945.27
01月限 日経225 26325.21 TOPIX 1900.71
02月限 日経225 27779.75 TOPIX 1986.19
03月限 日経225 28377.34 TOPIX 2047.32
04月限 日経225 28519.43 TOPIX 2019.76
05月限 日経225 29235.08 TOPIX 2090.33
06月限 日経225 32018.38 TOPIX 2211.13

◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
22/09 06月09日 31700 32250 31440 32200 +600
22/06 06月08日 31840 32090 31410 31690 -180
22/06 06月07日 32390 32710 31850 31870 -550
22/06 06月06日 32330 32570 31930 32420 +180
22/06 06月05日 31610 32290 31610 32240 +690

◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
22/09 06月09日 2196.0 2225.5 2179.0 2219.5 +29.5
22/06 06月08日 2202.5 2215.5 2179.5 2193.5 -9.5
22/06 06月07日 2230.0 2253.0 2203.0 2203.0 -27.5
22/06 06月06日 2227.0 2239.5 2197.5 2230.5 +7.5
22/06 06月05日 2187.0 2225.0 2187.0 2223.0 +39.5

●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
06月09日(9月限) 32325 +125
06月08日(9月限) 31835 +235
06月07日(6月限) 31885 +15
06月06日(6月限) 32645 +225
06月05日(6月限) 32100 -140
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
06月02日 1551億円 +444億円 1兆3379億円 +1433億円
05月26日 1107億円 +204億円 1兆1946億円 +768億円
05月19日 902億円 -31億円 1兆1177億円 +1491億円
05月12日 934億円 -2480億円 9686億円 -511億円
05月02日 3414億円 -432億円 1兆0198億円 +986億円
04月28日 3847億円 -232億円 9211億円 -504億円
04月21日 4079億円 -207億円 9715億円 +235億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
06月07日 4882万株 -846万株 5億2660万株 -1563万株
06月06日 5729万株 +2345万株 5億4223万株 +3524万株
06月05日 3383万株 -110万株 5億0699万株 +3507万株
06月02日 3493万株 -38万株 4億7191万株 +1678万株
06月01日 3531万株 -353万株 4億5513万株 +2395万株
05月31日 3885万株 +530万株 4億3117万株 +577万株
05月30日 3354万株 +52万株 4億2540万株 -440万株
05月29日 3302万株 +685万株 4億2981万株 -673万株
05月26日 2616万株 -5万株 4億3654万株 +1871万株
05月25日 2622万株 +149万株 4億1783万株 +49万株
05月24日 2473万株 -111万株 4億1733万株 -142万株
05月23日 2585万株 +93万株 4億1875万株 +250万株
05月22日 2492万株 +425万株 4億1625万株 +649万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
【2022年】
1月14日 701億円
1月25日 701億円
2月14日 701億円
3月07日 701億円
4月07日 701億円
5月19日 701億円
6月13日 701億円
6月17日 701億円
12月2日 701億円
【2023年】
3月13日 701億円
3月14日 701億円