株価指数先物 【週間展望】 ―短期過熱を警戒しつつも、海外投資家による資金流入で相対的な強さが意識されやすい

「短期過熱を警戒しつつも、海外投資家による資金流入で相対的な強さが意識されやすい」

今週の日経225先物は、前週までの急ピッチの上昇に対する過熱感が警戒されるなか、米国の債務上限問題を巡る協議の行方を横睨みに、こう着感が強まりそうだ。19日の米国市場では、主要な株価指数が下落した。前日までバイデン米政権と共和党幹部らによる交渉の進展を期待した買いが入っていたが、この日は共和党の交渉担当者らが協議から退席したと伝わり、交渉の難航が懸念されて売り直された。

G7広島サミットに出席しているバイデン大統領は、デフォルトを回避できると確信していると述べているが、協議の行方を見極めたいところであろう。また、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、銀行破綻の影響で金利を引き上げる必要がなくなる可能性があるとの認識を示しており、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率が低下している。一方で、イエレン米財務長官はさらなる銀行合併が必要になるかもしれないと、大手銀行の経営者に対して伝えたようである。債務交渉の行方や金融引き締め長期化への思惑、米地銀の破綻リスクなどを抱える米国市場の不安定な値動きは、日本市場にとって重荷となりそうだ。

また、米国では23日に5月の5月製造業購買担当者景気指数(PMI)、5月のリッチモンド連銀製造業指数、24日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、26日に4月の個人消費支出(PCEデフレーター)、5月のミシガン大学消費者態度指数確報値といった指標の発表を控えており、これらが週を通じて不安定要因になるだろう。そのため、リスク回避的に海外投資家が日本株を選好する動きは続きやすく、相対的な強さが意識されやすい。

日経225先物は、19日の日中取引終了後のナイトセッションは、日中比80円安の3万820円だった。一時3万980円まで買われ、米国市場の取引開始後に3万670円まで軟化したものの、終盤にかけてはショートカバーが入り下げ幅を縮めていた。過熱感から短期的にはショートが入りやすいだろうが、ショートに傾けるのは避けておきたいところであり、利食いに押される局面では、カバー狙いのロングでの対応になろう。

日経225先物は、先週の上昇で2021年2月に付けた高値(3万720円)を突破。日経平均株価は同年9月高値(3万795円)を明確に上放れ、バブル後の高値を更新。達成感が意識されやすい水準からの一段高によって、ショートカバーに伴うヘッジ対応が加速した。

テクニカル面ではボリンジャーバンドの+2σを突破し、+2σを支持線とした+3σとの切り上がりに沿ったトレンドを継続している。+3σは3万1420円辺りまで切り上がってきており、+2σは3万660円辺りに上昇している。ナイトセッションでは+2σまでの調整を見せており、適度に過熱を抑えながら上昇トレンドを形成しているため、ショート筋には厳しい需給状況である。そのため、オプション権利行使価格の3万500円~3万1500円処での推移を想定していきたい。

VIX指数は16.81に上昇した。ただし、緩やかに切り下がる25日移動平均線に上値を抑えられる形状であり、ボトム水準での推移が続く。債務上限問題や金融引き締め長期化への警戒、さらに地銀の金融システム不安が燻るなかでも、投資家心理は落ち着いていることが窺える。経済指標の結果なども変動要因になりそうだが、75日線が位置する19.49を上放れ、20.00を超えた辺りで慎重姿勢に向かわせよう。

先週のNT倍率は先物中心限月で14.26倍に上昇した。15日に14.09倍辺りに位置していた200日線を捉え、18日には一時14.20倍まで上昇し、昨年12月半ば以来の水準に切り上がった。先週はアドバンテスト <6857> [東証P]が上場来高値を更新するなど、ハイテク株の強い値動きが目立っており、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が指数をけん引していた。前週の反動は想定しつつも、日経平均型優位の状況は継続すると考えられ、引き続きNTロングでのスプレッド狙いは入りやすいと考えられる。

5月第2週(5月8日-12日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では6週連続で買い越しており、買い越し越し額は7844億円(5月第1週は4677億円の買い越し)だった。なお、現物は5658億円の買い越し(同1602億円の買い越し)と7週連続の買い越しであり、先物は2185億円の買い越し(同3074億円の買い越し)と2週連続で買い越している。個人は現物と先物の合算で3914億円の売り越しで、2週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で1731億円の売り越しとなり、6週連続の売り越しだった。

経済スケジュールでは22日に3月機械受注、23日に米国5月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)、米国4月新築住宅販売件数、米国5月リッチモンド連銀製造業指数、24日に米国MBA住宅ローン申請指数、FOMC(5月2~3日開催分)議事要旨、25日に米国1-3月期GDP改定値、26日に5月東京都区部消費者物価指数(CPI)、4月企業向けサービス価格指数、3月景気動向指数改定値、米国4月個人所得・消費支出、米国4月耐久財受注、米国5月ミシガン大学消費者態度指数確報値などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
06月限 日経225 28122.81 TOPIX 1955.38
07月限 日経225 26659.58 TOPIX 1890.16
08月限 日経225 28525.62 TOPIX 1963.05
09月限 日経225 28253.40 TOPIX 1957.76
10月限 日経225 26666.31 TOPIX 1885.58
11月限 日経225 28225.86 TOPIX 1978.52
12月限 日経225 27576.37 TOPIX 1945.27
01月限 日経225 26325.21 TOPIX 1900.71
02月限 日経225 27779.75 TOPIX 1986.19
03月限 日経225 28377.34 TOPIX 2047.32
04月限 日経225 28519.43 TOPIX 2019.76
05月限 日経225 29235.08 TOPIX 2090.33

◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
22/03 05月19日 30660 30940 30660 30900 +310
22/03 05月18日 30050 30670 30040 30590 +530
22/03 05月17日 29850 30140 29830 30060 +220
22/03 05月16日 29690 29920 29640 29840 +170
22/03 05月15日 29430 29670 29430 29670 +250

◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
22/03 05月19日 2161.5 2178.0 2158.5 2165.5 +8.0
22/03 05月18日 2131.5 2162.5 2130.0 2157.5 +26.5
22/03 05月17日 2128.5 2137.5 2126.0 2131.0 +3.5
22/03 05月06日 2120.0 2132.0 2117.5 2127.5 +8.5
22/03 05月15日 2097.5 2119.0 2097.5 2119.0 +22.0

●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
05月19日(6月限) 30855 -45
05月18日(6月限) 30905 +315
05月17日(6月限) 30530 +470
05月16日(6月限) 29870 +30
05月15日(6月限) 29870 +200
05月12日(6月限) 29575 +155
※前日比は大阪取引所終値比

●VIX指数
05月19日 16.13 17.36 15.85 16.81
05月18日 16.92 17.15 16.05 16.05
05月17日 17.96 18.26 16.68 16.87
05月16日 17.54 18.30 17.26 17.99
05月15日 17.44 18.16 17.08 17.12
05月12日 16.83 17.92 16.38 17.03
05月11日 16.80 18.19 16.63 16.93
05月10日 17.58 18.31 16.42 16.47
05月09日 17.71
05月08日 17.73 17.88 16.83 16.98
05月05日 19.50 19.63 16.69 17.19
05月04日 19.17 21.33 18.67 20.09
05月03日 17.82 18.83 17.19 18.34
05月02日 16.27 19.81 16.26 17.78
05月01日 16.08
04月28日 17.21 17.65 15.72 15.78
04月27日 17.03
04月26日 18.66 19.61 17.87 18.84
04月25日 17.62 19.86 17.33 18.76
04月24日 18.22 18.24 16.74 16.89
04月21日 17.51 17.71 16.58 16.77
04月20日 16.85 17.69 16.33 17.17
04月19日 17.30 17.72 16.17 16.46
04月18日 16.94 17.34 16.58 16.83
04月17日 17.58 17.79 16.90 16.95
04月14日 17.94 18.12 17.07 17.07
04月13日 17.80
04月12日 19.38 19.98 18.25 19.09
04月11日 19.08 19.28 18.56 19.10
04月10日 19.39 20.05 18.93 18.97
04月06日 19.30 19.88 18.35 18.40
04月05日 19.08
04月04日 18.79 20.03 18.58 19.00
04月03日 19.79 19.83 18.54 18.55
03月31日 19.21 19.43 18.52 18.70
03月30日 19.12 20.08 18.85 19.02
03月29日 19.39 19.45 19.09 19.12
03月28日 20.53 21.40 19.91 19.97
03月27日 22.05 22.93 20.57 20.60
03月24日 22.11 25.21 21.60 21.74
03月23日 21.54 24.91 20.16 22.61
03月22日 21.80 22.38 19.94 22.26
03月21日 24.16 24.16 21.29 21.38
03月20日 27.77 28.91 24.00 24.15

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
05月12日 934億円 -2480億円 9686億円 -511億円
05月02日 3414億円 -432億円 1兆0198億円 +986億円
04月28日 3847億円 -232億円 9211億円 -504億円
04月21日 4079億円 -207億円 9715億円 +235億円
04月14日 4286億円 +1445億円 9480億円 -48億円
04月07日 2841億円 -514億円 9528億円 -4089億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
05月17日 2345万株 +1450万株 4億0582万株 +2741万株
05月16日 894万株 -1478万株 3億7840万株 -1289万株
05月15日 2372万株 +128万株 3億9130万株 +2146万株
05月12日 2243万株 -2640万株 3億6984万株 -1172万株
05月11日 4884万株 -222万株 3億8156万株 -332万株
05月10日 5106万株 -237万株 3億8489万株 -624万株
05月09日 5343万株 -2853万株 3億9114万株 +1095万株
05月08日 8197万株 -68万株 3億8018万株 -1248万株
05月02日 8265万株 -134万株 3億9267万株 +1212万株
05月01日 8399万株 -1065万株 3億8054万株 +2541万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
【2022年】
1月14日 701億円
1月25日 701億円
2月14日 701億円
3月07日 701億円
4月07日 701億円
5月19日 701億円
6月13日 701億円
6月17日 701億円
12月2日 701億円
【2023年】
3月13日 701億円
3月14日 701億円