株価指数先物 【週間展望】 ―年内の米利下げを織り込む流れのなか、2万9000円固めからのロング対応を想定

「年内の米利下げを織り込む流れのなか、2万9000円固めからのロング対応を想定」

連休明けとなる今週の日経225先物は、決算発表がピークを迎えるなか、2万9000円水準での底固めを意識した展開になりそうだ。日本が連休中の米国では重要イベントが相次いだが、2日、3日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)では、大方の予想通りに0.25%の追加利上げを決定した。前回の声明に盛り込まれた「追加の引き締めが適切」との表現は削除され、「金融政策運営のスタンスを適切に調整する用意がある」としたことで、今回で利上げが打ち止めになるとの期待が広がった。

5日に発表された4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が25万3000人増となり、予想(18万人増程度)を上回ったほか、失業率は3.4%に低下し、予想(3.6%程度)以上に低下。また、平均時給は前年同月比4.4%増と、こちらも予想(4.3%増)を上回った。発表直後は株安で反応する場面も見られたが、予想を上回る1-3月期決算を発表したアップル<AAPL>が4%超上昇して相場をけん引する格好となり、5日のNYダウ、ナスダックは5営業日ぶりに反発した。

ただし、2日-4日は波乱の展開であった。破綻したファースト・リパブリック・バンクはJPモルガン・チェース<JPM>による救済買収が決まったが、米地銀の破綻が連鎖しかねないとの懸念から中堅地銀株が急落した。パックウェスト・バンコープ<PACW>が4日に5割超急落し、翌5日には急反発をみせるなど、荒い値動きとなった。そのほか多くの中堅銀行が急落するなか、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>やJPモルガン・チェースなど大手銀へも売りが広がった。この間、日経225先物は、祝日取引で一時2万8560円まで売られる場面が見られた。

日経225先物は祝日取引で急落こそあったが、終値では2日の日中終値比60円安の2万9070円と節目の2万9000円を上回っており、連休中の米国市場の波乱の影響は限られそうだ。米中堅銀行の急落は、その後の大幅な反発を見る限り、資金流出懸念というよりは需給要因が大きかったと考えられる。FOMCは想定内の結果であり、年内の利下げを織り込む流れが強まるなか、東京市場でも2万9000円固めからロングスタンスに向かいやすいだろう。

日経225先物は一時ボリンジャーバンドの+1σを下回り、中心値(25日移動平均線)に接近した後に切り返す形状となった。週足でもボリンジャーバンドの+1σ割れまでの調整を経てリバウンドを見せているため、過熱感は一気に後退した。改めて+1σを支持線としたトレンド形成が意識されやすい。日足の+2σは2万9270円、週足は2万9450円辺りで推移していることから、オプション権利行使価格の2万9000円を支持線に、その上の権利行使価格2万9250円および2万9500円を意識したレンジを想定。日足の+1σは2万8800円辺りに位置しているため、2万9000円を下回る局面では、+1σを支持線とした押し目狙いのロング対応となりそうだ。

VIX指数は17.19に低下した。4日には一時21.33まで急伸し、上値を抑えられていた75日線を突破する場面も見られたが、週末には14%超の下げにより、75日線および17.86辺りに位置していた25日線を下回って終えた。米中堅銀行の急落によるショック安の影響は通過した格好であり、リスク選好の流れとなりやすいだろう。

NT倍率は先物中心限月で14.00倍を挟んだレンジ推移を継続している。5日の米国市場の流れからは日経平均型優位の展開が見込まれる。主要企業の決算発表がピークを迎えるなかではトレンドは出にくいが、NTロングでのスプレッド狙いが入りやすいとみておきたい。

経済スケジュールでは、8日に日銀金融政策決定会合議事要旨(3月9日~10日開催分)、米国3月卸売売上高、9日に3月全世帯家計調査、中国4月貿易収支、10日に3月景気動向指数、米国4月消費者物価指数(CPI)、11日に日銀金融政策決定会合の主な意見(4月27日~28日分)、4月景気ウォッチャー調査、G7財務相・中央銀行総裁会合(~5月13日)、中国4月CPI、中国4月生産者物価指数(PPI)、イングランド銀行(BOE、英中央銀行)政策金利、米国4月PPI、12日に米国5月ミシガン大学消費者態度指数、米国4月輸入・輸出物価指数などが予定されている。

なお、4月第4週(4月24日-28日)の投資部門別売買動向は5月9日に発表される。また、5月第1週(5月1日-2日)分については、5月11日の発表が予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
05月限 日経225 25951.24 TOPIX 1838.12
06月限 日経225 28122.81 TOPIX 1955.38
07月限 日経225 26659.58 TOPIX 1890.16
08月限 日経225 28525.62 TOPIX 1963.05
09月限 日経225 28253.40 TOPIX 1957.76
10月限 日経225 26666.31 TOPIX 1885.58
11月限 日経225 28225.86 TOPIX 1978.52
12月限 日経225 27576.37 TOPIX 1945.27
01月限 日経225 26325.21 TOPIX 1900.71
02月限 日経225 27779.75 TOPIX 1986.19
03月限 日経225 28377.34 TOPIX 2047.32
04月限 日経225 28519.43 TOPIX 2019.76

◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
22/03 05月02日 29170 29360 29080 29130 -30
22/03 05月01日 28920 29170 28730 29160 +290

◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
22/03 05月02日 2081.0 2091.5 2068.5 2076.5 -4.5
22/03 05月01日 2059.5 2081.0 2046.5 2081.0 +23.0

●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
05月05日(6月限) 29100 -30
05月04日(6月限) 28625 -505
05月03日(6月限) 28715 -415
05月02日(6月限) 28815 -315
05月01日(6月限) 29330 +170
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
04月21日 4079億円 -207億円 9715億円 +235億円
04月14日 4286億円 +1445億円 9480億円 -48億円
04月07日 2841億円 -514億円 9528億円 -4089億円
03月31日 3356億円 +560億円 1兆3617億円 -777億円
03月24日 2795億円 +248億円 1兆4395億円 +2108億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
04月28日 9465万株 +88万株 3億5513万株 +948万株
04月27日 9377万株 -31万株 3億4565万株 -2186万株
04月26日 9408万株 -263万株 3億6751万株 -1630万株
04月25日 9671万株 -272万株 3億8381万株 +503万株
04月24日 9944万株 -135万株 3億7878万株 -182万株
04月21日 1億0079万株 -50万株 3億8060万株 +319万株
04月20日 1億0129万株 -221万株 3億7741万株 +744万株
04月19日 1億0350万株 -284万株 3億6996万株 -850万株
04月18日 1億0635万株 -347万株 3億7847万株 +1148万株
04月17日 1億0982万株 +364万株 3億6698万株 -491万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
【2022年】
1月14日 701億円
1月25日 701億円
2月14日 701億円
3月07日 701億円
4月07日 701億円
5月19日 701億円
6月13日 701億円
6月17日 701億円
12月2日 701億円
【2023年】
3月13日 701億円
3月14日 701億円