株価指数先物 【週間展望】 ―トランプ大統領就任、日銀会合でボラティリティ高まる

今週の日経225先物は、1月20日のトランプ米大統領就任直後に発表されるとみられる関税策への警戒感が高まりやすいほか、23〜24日開催の日銀の金融政策決定会合に関心が集まることで、ボラティリティの高まる相場展開が見込まれる。

前週の日経225先物は、14日に750円安と大幅な下げにより75日移動平均線、200日線を一気に割り込んだ。その後は200日線を挟んだ攻防が続き、3万8950円辺りに位置する75日線が抵抗線として機能するなか、17日には200日線(3万8500円)を下抜け、一時3万8070円まで売られた。節目の3万8000円に接近してきたことで、いったんはボトム形成が意識される半面、下へのバイアスが強まりやすい水準でもあろう。

17日の米国市場では主要な株価指数が上昇し、週間での上昇率はNYダウが3%を超え、S&P500、ナスダックは2%を超えた。NYダウは13日に一時4万1844ドルまで売られ、昨年11月の安値水準まで下げた。大統領選でのトランプ氏勝利を受けたトランプトレードによる上昇分を帳消しにしたことで、リバランスの買いが入ったとみられる。今後、トランプ政権による規制緩和や景気支援策への期待から、米国株は再動意をみせてくる可能性がある。

同様に日経平均株価も昨年11月以来の水準まで下げていることもあり、仕切り直しのタイミングとなる可能性がある。17日の米国市場の上昇を受け、日経225先物はナイトセッションで上昇しており、日中比360円高の3万8830円で終えた。

ナイトセッションで200日線を上回り、75日線に接近してきたことで、週初は75日線と節目の3万9000円を捉えられるかが注目される。20日の米国市場はキング牧師の生誕祭で休場となるため、海外勢のフローは限られるだろう。直近の調整によりポジションはややショートに傾いていると考えられ、米大統領就任式を前にニュートラルに近づける形でのカバーの動きが意識されやすい。海外勢のフローが限られ薄商いとなるなか、週明けはややロング対応に向かわせそうだ。

週間形状についても26週・52週線が支持線として機能する形でのリバウンドにより、13週線(3万8980円)に接近している。前週は一時支持線を割り込む場面もみられたが、終値としては両線を上回って終えていたこともあり、支持線として意識されてリバウンド狙いの動きが入りやすいところだ。

また、ボリンジャーバンドでは日足の-1σと-2σによるレンジ推移を継続しているが、前週は幾度となく-2σを下回る場面が目立った。バンドは下向きで推移していたこともあり、-2σに沿った調整によって売られ過ぎのシグナルを見極めにくくさせていた。ただし、ナイトセッションの上昇で-1σを捉えてきたことで、同バンド突破を狙った動きが期待される。週足のボリンジャーバンドは、-1σをサポートに中心値(13週)に接近してきた。

一目均衡表では前週の下げで雲上限を割り込み、週後半にはトレンドの出やすい雲のねじれの局面で、明確に雲を下放れる形状となった。遅行スパンが実線を割り込んだことで下方シグナルを発生。雲下限が概ね3万9000円辺りでの推移を継続することで、ここでも節目の3万9000円辺りが抵抗線として意識されて強弱感が対立しやすいだろう。

ただし、雲のねじれ局面のため雲の厚みは薄く、雲突破のハードルはそれほど高くはない。また、多くのテクニカルポイントで節目の3万9000円辺りが転換点となることで、同水準を突破してくる局面では、慎重姿勢にあった向きのロングの動きが強まる可能性がある。

そのほか、足もとでは日銀の金融政策決定会合で追加利上げを実施するとの観測が高まっていた。長期金利の上昇により、為替市場ではドル・円が1ドル=155円台と円高・ドル安に振れていたことで、追加利上げについては相当織り込んでいると考えられる。利上げ実施で波乱の場面もありそうだが、アク抜け的な動きに向かわせよう。

しかしながら、米国市場はトランプ政権への期待から上昇が期待される一方で、国内では米国の関税政策や人工知能(AI)向け半導体規制の影響を見極めたいとして、市場反応が限られる可能性がある。日経225先物は3万9000円辺りでの上値の重さが強く意識されてくるようだと、再び200日線や-2σ水準までの下げは十分考えられる。26週・52週線を割り込んでくると、-2σが位置する3万7690円辺りへのバイアスが強まる可能性には注意しておきたい。

まずは、オプション権利行使価格の3万8375円から3万9125円辺りのレンジを想定。ブレイク局面では上は3万9500円、下は3万7500円辺りを想定する。

17日の米VIX指数は15.97に低下した。13日につけた22.04を戻り高値に調整が強まり、週半ばに25日、75日線を割り込み200日線水準まで下げた。その後は200日線水準での攻防となり、週末の終値では同線を下回って終えている。200日線を抵抗ラインとして昨年12月24日につけた直近安値の14.27に接近してくる場面では、リスク選好に傾きそうだ。

先週末のNT倍率は先物中心限月で14.33倍だった。週初の低下で75日線を割り込み、15日には一時14.26倍まで低下し、200日線水準に接近する場面もあった。週後半にはリバランスにより75日線水準まで戻す形だった。指数インパクトの大きい値がさハイテク株に対する慎重姿勢が崩せないなか、ややNTショートが優勢になりそうだ。

1月第1週(1月6日-10日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続の売り越しであり、売り越し額は4875億円(12月第5週は2178億円の売り越し)だった。なお、現物は3435億円の買い越し(同657億円の売り越し)と2週ぶりの買い越しであり、先物は8311億円の売り越し(同1521億円の売り越し)と2週連続の売り越し。個人は現物と先物の合算で8175億円の買い越しと2週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で6847億円の売り越しとなり、4週ぶりに売り越した。

主要スケジュールでは、20日に11月機械受注、米大統領就任式、世界経済フォーラム・ダボス会議(〜24日)、22日に米国12月コンファレンス・ボード景気先行指数、23日に12月貿易統計、24日に日銀金融政策決定会合(終了後に政策金利を発表)、12月全国消費者物価指数、植田和男日銀総裁が記者会見、米国1月製造業PMIなどが予定されている。

なお、決算では米国で21日にネットフリックス<NFLX>、国内では23日にディスコ <6146> [東証P]、ニデック <6594> [東証P]が発表を控えている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
02月限 日経225 37018.07 TOPIX 2563.93
03月限 日経225 39863.92 TOPIX 2716.15
04月限 日経225 39820.59 TOPIX 2766.89
05月限 日経225 38509.47 TOPIX 2728.75
06月限 日経225 38535.35 TOPIX 2714.56
07月限 日経225 41531.26 TOPIX 2893.54
08月限 日経225 35661.68 TOPIX 2510.68
09月限 日経225 36906.92 TOPIX 2585.41
10月限 日経225 39701.93 TOPIX 2721.72
11月限 日経225 39901.35 TOPIX 2765.26
12月限 日経225 39434.85 TOPIX 2738.68
01月限 日経225 39343.19 TOPIX 2726.70

◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
25/03 01月17日 38780 38780 38070 38470 -200
25/03 01月16日 38330 38940 38230 38670 +280
25/03 01月15日 38540 38820 38320 38390 -110
25/03 01月14日 39280 39330 38310 38500 -750

◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
25/03 01月17日 2701.0 2701.0 2650.0 2684.5 -12.5
25/03 01月16日 2685.5 2717.5 2682.0 2697.0 +6.5
25/03 01月15日 2686.0 2710.0 2681.0 2690.5 +7.5
25/03 01月14日 2720.0 2724.0 2671.0 2683.0 -37.0

●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
01月17日(03月限) 38795 +325
01月16日(03月限) 38335 -335
01月15日(03月限) 38755 +365
01月14日(03月限) 38725 +225
01月13日(03月限) 38705 -545
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
01月10日 1630億円 -446億円 2兆3440億円 -1863億円
12月30日 2076億円 -18億円 2兆5304億円 +1116億円
12月27日 2094億円 -244億円 2兆4187億円 +3327億円
12月20日 2339億円 +253億円 2兆0859億円 +494億円
12月13日 2086億円 -708億円 2兆0364億円 +3256億円
12月06日 2794億円 -717億円 1兆7107億円 -596億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
01月15日 4680万株 -357万株 8億7047万株 -4367万株
01月14日 5036万株 +2万株 9億1414万株 -8406万株
01月10日 5034万株 +280万株 9億9821万株 -2708万株
01月09日 4754万株 -637万株 10億2529万株 -4884万株
01月08日 5391万株 +1005万株 10億7414万株 +291万株
01月07日 4386万株 -1841万株 10億7123万株 +9259万株
01月06日 6227万株 +170万株 9億7864万株 -7603万株
12月30日 6057万株 +3万株 10億5467万株 +4078万株
12月27日 6053万株 -258万株 10億1389万株 +4229万株
12月26日 6312万株 -26万株 9億7160万株 -3161万株
12月25日 6338万株 -91万株 10億0321万株 +7843万株
12月24日 6429万株 -45万株 9億2477万株 +1079万株
12月23日 6475万株 -575万株 9億1398万株 +1232万株
12月20日 7051万株 +32万株 9億0165万株 +1528万株
12月19日 7018万株 +9万株 8億8636万株 -552万株
12月18日 7008万株 +1091万株 8億9189万株 +1530万株
12月17日 5916万株 -56万株 8億7658万株 +1025万株
12月16日 5973万株 -343万株 8億6632万株 +531万株