・ | 普通株式型 |
・ | 目標募集額:495万円、上限募集額:1998万円 |
・ | エンジェル税制あり(優遇措置AまたはB) |
・ | みなし時価総額:1億8000万円 |
・ | 類似上場企業:クリアル <2998> [東証G]、GA technologies <3491> [東証G]、クリーマ <4017> [東証G]、マクアケ <4479> [東証G]、雨風太陽 <5616> [東証G] |
※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算
「地方自治OS」のアップデートに向けて
アンドパブリックは、企業や行政の事業が社会や環境に与える「社会的インパクト」の可視化・最大化に取り組むスタートアップです。2023年2月、社会全体の課題解決力の底上げを目指して創業しました。
※社会的インパクト:短期、長期を含めて、事業や活動の結果として生じた社会的、環境的な変化や効果などの成果。事業者や団体は、目指す社会的インパクトを明確にして計画を立て、定量的・定性的に測定するための指標を設定して事業を進める(同社注)
同社によると、現在、気候変動や貧困問題など地球規模の課題が深刻化する中、投資の判断基準として事業の社会的インパクトを重視する「インパクト投資」が急拡大。企業は自社事業の社会に対する成果を可視化、最大化することを求められているそうです。
一方、地方自治体は少子高齢化に伴う社会保障費の増加などによって財政的な懸念を抱えており、限られた財源で最大の効果を発揮する施策を打ち出していく必要があるといいます。
同社は民間企業に対するコンサルティングと、その手法をSaaS化する可視化・マネジメントツールを開発しており、創業1期目で経常黒字を達成。中長期的には、コンサルで培った知見やデータを生かし、地方行政改革の支援を行う計画です。
自治体がインパクト志向で政策を立案するよう促すとともに、デジタルな金融手法を用いて市民の参加を促す「マイクロインパクトボンド(MIB)」を社会実装し、地方自治OS(オペレーティングシステム)のアップデートを目指すとしています。
(出典:イークラウド)
(出典:イークラウド)
地方自治体が抱える困難を”好機”に
地方自治体は公共インフラの維持管理やコミュニティの活性化、多様化する住民ニーズへの対応、自然災害への対策など幅広い課題に向き合う一方で、財政面では、税収減や社会保障費の増加などによる懸念が強まっていると同社は見ています。
「地方自治体が直面する課題は複雑ですが、それは同時に、革新的な解決策を生み出す機会でもあります。弊社は、自治体の影響力を最大限生かして、多様な社会課題の解決を推進していくためには、限られた財源を効果的に活用して社会的インパクトを生み出していくための、新しい政策立案の仕組みが不可欠だと考えています」(同社)
(出典:イークラウド)
民間では、社会的インパクトと金銭的リターンを同時に追求する「インパクト投資」が急拡大しており、2022年の世界のインパクト投資残高は約160兆円、国内の同残高は2年で約10倍の11兆円超に。
「大手銀行やベンチャーキャピタルなど70社以上がインパクト投資の推進を宣言するなど、官民で促進に向けた環境整備が進んでいます。企業は時に客観的に評価することが困難な社会的インパクトを可視化し、マネジメントすることが求められているのです」(同社)
(出典:イークラウド)
同社はまず、民間のニーズに応えることで売上の基盤を築くとともに多様なインパクト戦略を蓄積し、将来的には、地方自治体のインパクト志向を促す仕組み作りに向けた準備を進める方針です。
「成果型官民連携スキーム」へと事業展開
同社は現在、主に民間事業向けに社会的インパクトを可視化・マネジメントするコンサルティングのほか、SaaS型インパクトマネジメントツール「purposeboard(パーパスボード)」の開発を行っています。また、成果型官民連携スキーム「マイクロインパクトボンド(MIB)」の社会実装に向けて準備中です。
以下の3ステップを通して事業を展開していくとしています。
(1)多様な社会課題に挑む事業者を支えるコンサルティング
主な顧客は大企業のサステナビリティ部門のほか、長期間取引のない預金口座の資金を社会課題解決に活用する休眠預金関連事業や、インパクト投資による資金調達を想定するスタートアップです。
創業後2年弱でNTTデータグループ <9613> [東証P]やREADYFORなどから受注し、中小企業庁や東京都の補助金などの選定事業者も支援。教育や福祉、金融など幅広いジャンルの事業に対して社会的インパクトの可視化・最大化を行っています。
(出典:イークラウド)
(2)SaaS型インパクトマネジメントツールを開発中
(出典:イークラウド)
「purposeboard」は、コンサルティングを通じて蓄積した顧客支援のノウハウや測定指標のデータを標準化して落とし込んだSaaS型インパクトマネジメントツールです。現在はβ版で、インパクトスタートアップや地方自治体など20組織の協力の下、現場からのフィードバックを得て改良を進めています。
フレームワークに従い、成果目標を整理して測定指標を設定し、指標に対する結果を入力すると、ダッシュボードで達成率などを確認することができる設計。将来的には可視化・最大化の一連の業務を、コンサルティングとツールを掛け合わせたBPaaS(Business Process as a Service)として提供する計画です。
また、既存の汎用指標は事業分野によって充実度にばらつきがあり、企業や団体の多様な事業を網羅できていないため、新規で独自の指標もデータベース化していく予定で、研究者とのネットワーク構築を推進中。専門性の高い基準を独自の指標として採用し、潜在顧客の開拓などにつなげたいといいます。
(3)インパクト志向の行政×市民参加を促進する「MIB」
蓄積したノウハウやデータを元に、成果型官民連携スキーム「マイクロインパクトボンド(MIB)」の社会実装を目指す計画です。
これは、持続可能な社会の実現に向けて、国内外で活用が進む「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」を応用したもので、SIBの課題を解消し、インパクト志向の行政と市民の参加を同時に実現するものだといいます。
SIBは、従来の公共事業では解決が難しい社会課題に対して、行政が成果連動で民間に事業を委託する契約と民間からの資金調達を組み合わせてアプローチする仕組みで、2010年に英国で登場。教育や地域活性化などの分野で、世界で240件実施されているそうです。
(出典:イークラウド)
SIBでは、金融機関や財団などから集めた資金を元に、民間事業者が従来の公共サービスでは解決困難だった社会課題について、事業計画の立案から実行までを担当。行政は成果に応じた金額を支払い、それが資金提供者への元本や配当となります。
SIBの運営組織が、民間事業者の選定や資金調達、評価指標の設定などで行政をサポートし、第三者機関が成果を測定して評価するスキームが一般的です。
「専門性の高い民間事業者が、成果連動型で計画から実行までを担うことで公的サービスの生産性が向上し、財政の負担も軽減します。 事業によって地域課題が解決されれば、市民の暮らしはより良く、豊かなものとなっていきます」(同社)
(出典:イークラウド)
しかし、SIBは日本の公共サービス改革につながる可能性を秘めているものの、地方自治体は導入にあたり、複数のボトルネックを抱えているそうです。
1つ目は「事業構築に対する費用対効果」で、SIBには多数のステークホルダーが要るため、事業設計は煩雑で間接コストも必要に。2つ目は「民間のサービス提供者の選定」、3つ目は「事業評価の指標設定」だといいます。
同社のMIBでは、自治体の事業設計にインパクトマネジメントツールを提供することで、間接コストの削減を目指しつつ、ツールには多様なインパクト戦略や幅広いジャンルの社会課題に対応した測定指標、民間事業者が取り組んだインパクト戦略などのデータベースがあり、担当者の事業設計をサポートします。
また、社会課題の解決力を高めていく上で、市民の参加を促すことが重要であると考えているため、MIBでは、デジタル有価証券のST(セキュリティ・トークン)などを用いて小口化を図り、市民からの出資を募るそうです。
同社はMIB運営組織として、インパクトの可視化やマネジメントの支援、インパクトの評価、セキュリティ・トークン発行などの手数料を受領。事業の成果に応じて、民間事業者への成果報酬の支払いや市民へのリターンが発生します。
(出典:イークラウド)
今後の成長に向けて
同社はまず、インパクト投資市場におけるコンサルティングで事業拡大の土台を固めた後、ツールを民間、行政にアピールしていく計画です。これらにより、行政のインパクト志向への基盤を構築し、MIBの社会実装を進めていき、将来的にはMIBを民間に展開していきたいといいます。
今回の調達資金については、インパクトマネジメントツールの市場投入に向け、機能強化を進めていく方針です。
(1)コンサルタントの人材育成と営業の強化
導入実績のある大企業のサステナビリティ部門や休眠預金活用団体、インパクトスタートアップへの営業を強化していく計画です。
コンサルタントについては、社員と業務委託でチームを作っていく予定で、年2回の養成講座開催を通じて候補者の母集団形成と育成の機会を作るなど準備をしています。
(2)ツールの機能強化を進め、2025年12月に市場投入を計画
スタートアップなどの試験的利用で判明したニーズに応え、エンゲージメント向上など組織改革につながる機能を強化する方針です。
研究者と構築中の独自指標を強みとして、成長市場に伴う新規参入の増加が見込まれるコンサルティング事業者も顧客に取り込んで、市場のインフラツールを目指すといいます。市場への投入は2025年12月の予定です。
(3)蓄積したノウハウとデータを生かしてMIBを社会実装
対民間事業を通じたデータ蓄積と、MIBで必要となる第二種金融商品取引業登録に向けた準備を進めるといい、独立したコンプライアンス部門を立ち上げ、金融商品取引業やリスク管理に関する知識や経験を持つ人材を採用する予定です。
行政へのアプローチのきっかけになるのが、コンサルティングサービスへのニーズであり、既に総合計画策定の支援などを行っているほか、成果連動型民間委託契約にマッチする事業についてはMIBの導入を提案していくとしています。
裾野を広げるため、民間版MIBのニーズを探る実証実験も計画。社会課題解決のプログラムに参加した上場企業の従業員の意識・行動変容を可視化できる一連のパッケージにニーズがあるという仮説の下、民間企業と連携して実証実験を準備中です。
「足元の中心事業はコンサルティングですが、中長期的にはツールとMIBに軸足を移していく計画です。民間企業へのツール導入が進んだタイミングでIPOによる資金調達を実現し、台湾や韓国などへの展開を目指します」(同社)
(出典:イークラウド)
類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)
・クリアル <2998> [東証G]
・GA technologies <3491> [東証G]
・クリーマ <4017> [東証G]
・マクアケ <4479> [東証G]
・雨風太陽 <5616> [東証G]
発行者・募集情報
商号:アンドパブリック株式会社
所在地:神奈川県中郡二宮町二宮212栄ビル305
URL:https://andpublic.jp/
代表取締役:桑原憂貴
長友まさ美
資本金:1,200,000円
発行可能株式総数:100,000,000株
発行済株式総数:1,200,000株
調達前評価額:180,000,000円
設立年月日:2023年2月1日
決算期:12月
■募集株式の数(上限)
普通株式 133,200株
■募集株式の払込金額
1株当たり 150円
■申込期間
2024年10月21日(月)〜11月6日(水)
※上記申込期間のうち募集期間は2024年10月21日〜11月5日。早期終了の場合、予定した申込期間の最終日よりも早く、申し込みの受付を終了することがある。
■払込期日
2024年11月25日(月)
■目標募集額
4,950,000円
■上限募集額
19,980,000円
■投資金額のコース及び株数
90,000円コース(600株)
180,000円コース(1,200株)
270,000円コース(1,800株)
450,000円コース(3,000株)
特定投資家向けコース
90万円コース(6,000株)
180万円コース(12,000株)
270万円コース(18,000株)
450万円コース(30,000株)
■資金使途
①調達額495万円(目標募集額)の資金使途
「purposeboard(パーパスボード)」開発費:386万円
手数料:108万円
②調達額1,998万円(上限募集額)の資金使途
「purposeboard」開発費:1,558万円
手数料:439万円
■連絡先
アンドパブリック株式会社
080-4364-8550
※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、イークラウドの下記ページをご覧ください。
▼需要が急拡大する社会的インパクトのマネジメントを起点に地方自治の改革を目指す「アンドパブリック」