株価指数先物【寄り前】 円高と地政学リスクが重荷だが、押し目狙いのロング対応

大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 38280 -130 (-0.33%)
TOPIX先物 2681.0 -6.5 (-0.24%)
シカゴ日経平均先物 38330 -80
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)

23日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。ジャクソンホール会議でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演し、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを強く示唆した。この発言を受け、0.5%の利下げもあり得るとの観測が広がり、幅広い銘柄に買いが広がった。S&P500業種別指数は自動車・同部品、半導体・同製造装置、耐久消費財・アパレル、不動産、銀行が上昇した一方で、家庭用品・パーソナル用品のみが下落。

シカゴ日経平均先物(9月限)清算値は、大阪比80円安の3万8330円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比30円安の3万8380円で始まり、ほどなくして上昇に転じると、米国市場の取引開始直後には3万8670円まで買われる場面もみられた。ただし、買い一巡後は軟化し下落に転じると、3万8140円まで下げ幅を広げた。終盤にショートカバーとみられる動きから下落幅を縮め、3万8280円でナイトセッションの取引を終えた。

日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形で、やや売り優勢で始まりそうだ。米国では9月の利下げが確実視されるなか、米長期金利が低下。為替市場で円買い・ドル売りが強まったことで、1ドル=146円台から144円台前半へと円高に振れている。日米金利差縮小による円高が重荷となった形であり、引き続き為替睨みの展開になりそうだ。米国では9月の利下げ幅に関心が集まっており、今後の経済指標の内容次第で思惑的な売買に振らされやすくなる。

ただし、積極的なショートは手控えられるとみられる。円相場は8月5日に付けた1ドル=141.70円までは円高に振れておらず、一段の円高を想定した動きは限られよう。また、8月の急落局面でヘッジファンドは持ち高をいったん解消しているとみられる。すぐに以前のポジションに戻す戦略に変更するとは考えにくいものの、調整局面ではロングを入れてくる可能性があるとみておきたい。

日経225先物は75日移動平均線(3万8620円)が抵抗線として意識されているが、足もとのリバウンドでは下値切り上げのトレンドを継続している。3万8000円を下回ってくる局面では短期的なショートが入りやすいが、同水準を上回って推移するようだと、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。

一方で、75日線を明確に上放れてくると、買い遅れていたファンドによるロングが強まる可能性がある。今週は28日にエヌビディア<NVDA>の決算が控えている。指数インパクトの大きい値がさハイテク株への影響が大きいことから、ショートを仕掛けづらくさせそうだ。そのため、オプション権利行使価格の3万8000円から3万8625円のレンジを想定する。

なお、イスラム教シーア派組織ヒズボラは、イスラエル軍の基地などの軍事施設を標的に320発以上のロケット弾を発射したと報じられている。ネタニヤフ首相は反撃する構えを見せており、地政学リスクを警戒したリ持ち高調整の動きには注意する必要がありそうだ。

23日の米VIX指数は15.86(前日は17.55)に低下した。FRB議長の講演を受け、リスク選好に傾く形となった。地政学リスクの高まりにより週明けは上昇をみせてくる可能性があるが、不安心理が高まるといわれる20.00を再び上回ってくるまでは、ショートは仕掛けづらい。

先週末のNT倍率は先物中心限月で14.29倍に上昇した。20日に14.20倍辺りで推移している200日線を上放れ、その後は同線が支持線として意識されていた。本日は地政学リスクを警戒する流れからエネルギー株が買われる可能性があるため、ややTOPIX型優位になりそうだ。ただし、今週はエヌビディアの決算で値がさハイテク株が買い戻される可能性があるなか、200日線での底堅さが意識されるようだと、NTロングに振れやすいとみておきたい。