株価指数先物【引け後】 植田日銀総裁発言で後場はロングが優勢に

大阪9月限
日経225先物 38410 +180 (+0.47%)
TOPIX先物 2687.5 +12.0 (+0.44%)

日経225先物(9月限)は前日比180円高の3万8410円で取引を終了。寄り付きは3万8130円と、シカゴ日経平均先物の清算値(3万8050円)にサヤ寄せする形で、やや売りが先行して始まった。朝方は円相場が1ドル=146円台前半と、若干円安に振れていたこともあり、現物の寄り付き直後には3万8360円まで買われた。だが、日本銀行の植田和男総裁が衆参両院の閉会中審査に臨むなか、その発言内容が伝わると、1ドル=145円台の円高に振れたことで、買い一巡後はロングの解消に向かわせる形となった。これにより前場終盤には3万8040円まで下げる場面もあった。

もっとも、節目の3万8000円接近では底堅さが意識されており、前引けにかけて下げ幅を縮めると、ランチタイムでプラス圏を回復。さらに、植田総裁は午後の答弁で、7日に内田副総裁が「不安定な状況で利上げをすることはない」との発言について、政策運営の考え方に相違はないとの見解を示したことが安心感につながった。後場はショートカバーを交えたロング優勢の流れとなり、中盤には3万8400円台を回復し、その後は3万8300円〜3万8400円辺処で保ち合い、引け間際には3万8420円まで買われる場面もみられた。

日経225先物はスキャルピング中心のトレードとみられ、為替を睨んでの展開になった。植田総裁の発言を受けた為替動向に振らされやすい需給状況のなか、サプライズのない発言だったことで後場はロング優勢となり、日中の高値圏で終えた。また、経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控えて、持ち高調整に伴う買い戻しの動きもあったとみられる。

日経225先物は下値切り上げのトレンドを継続し、パウエルFRB議長の講演を受けた米国市場の動向次第では、心理的な抵抗として意識される75日移動平均線(3万8630円)を上回ってくる可能性がある。また、週足では13週線(3万8560円)、26週線(3万8690円)なども集中している水準であるため、これらを明確に上放れてくると、ショートカバーに加えて、買い遅れているファンドによるロングが強まることも意識しておきたい。

なお、NT倍率は先物中心限月で14.29倍に上昇した。東京エレクトロン <8035> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、レーザーテック <6920> [東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の弱い値動きが日経平均型の重荷となったが、NTショートに傾く動きは限られた。14.20倍辺りに位置する200日線を上回って推移していることから、目先的にはNTロングに振れやすくなる展開がありそうだ。

手口面(9月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万3827枚、ソシエテジェネラル証券が6348枚、サスケハナ・ホンコンが3301枚、SBI証券が1601枚、JPモルガン証券が1337枚、バークレイズ証券が1163枚、モルガンMUFG証券が1150枚、auカブコム証券が770枚、ゴールドマン証券が741枚、ドイツ証券が642枚だった。

TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が1万7926枚、ソシエテジェネラル証券が1万1050枚、サスケハナ・ホンコンが2929枚、JPモルガン証券が2640枚、バークレイズ証券が2465枚、モルガンMUFG証券が2277枚、ゴールドマン証券が2090枚、ビーオブエー証券が2026枚、シティグループ証券が1556枚、みずほ証券が812枚だった。