東証が16日に発表した8月第1週(5日〜9日)の投資部門別売買動向(現物)によると、米景気後退懸念の高まりから週明けに日経平均株価が過去最大の下げ幅を記録するなど乱高下の展開が続き、日経平均が前週末比884円安の3万5025円と4週連続で急落したこの週は、個人投資家が4週ぶりに売り越した。売越額は553億円だった。前週は4817億円の買い越し。証券会社の自己売買は5週連続で売り越し、売越額は1兆3096億円と前週の4441億円から大きく膨らんだ。
一方、海外投資家は4週ぶりに買い越し、買越額は4953億円だった。前週は5524億円の売り越しだった。海外投資家は先物の投資部門別売買動向では日経225先物、TOPIX先物、ミニ日経225先物、ミニTOPIX先物、日経225マイクロの合計で4週連続の売り越しとなった。売越額は1兆2630億円と前週の5105億円から急拡大し昨年10月第1週以来10ヵ月ぶりの大きさだった。現物と先物の合算でも4週連続で売り越し、売越額は7677億円と前週の1兆629億円から縮小した。年金基金の売買動向を映すとされる信託銀行は3週連続で買い越し、買越額は2171億円と前週の239億円から拡大した。自社株買いが中心とみられる事業法人は6週連続で買い越し、買越額は5060億円と前週の1463億円から大幅に増加した。相場急落による自社株の大幅安を受けて割安感から自社株に買いを入れた可能性がある。
日経平均が4週連続で急落する中、海外投資家が現物・先物合算で売り越しが続いたほか、個人投資家も4週ぶりに売り越す一方、事業法人と信託銀行が大きく買い越した。
■投資部門別売買代金差額 (8月5日〜9日)
東証・名証2市場の内国普通株式市場の合計[総合証券ベース(全51社)]
※単位:億円(億円未満切り捨て) ▲は売り越し
海外投資家 信託銀行 個人合計 [ 現金 信用 ] 日経平均 ( 前週比 )
8月 ―――
第1週 4,953 2,171 ▲553 [ 3,027 ▲3,581 ] 35,025円 ( -884 円)
7月 ―――
第5週 ▲5,524 239 4,817 [ 3,143 1,673 ] 35,909円 ( -1757 円)
第4週 ▲5,659 256 5,050 [ 2,753 2,297 ] 37,667円 ( -2396 円)
第3週 ▲2,459 ▲257 2,512 [ ▲6 2,518 ] 40,063円 ( -1126 円)
第2週 1,288 ▲733 ▲773 [ ▲2,763 1,989 ] 41,190円 ( +278 円)
第1週 1,836 518 ▲4,966 [ ▲5,110 143 ] 40,912円 ( +1329 円)
6月 ―――
第4週 1,239 15 ▲4,885 [ ▲3,839 ▲1,046 ] 39,583円 ( +986 円)
第3週 ▲213 ▲1,914 1,899 [ 358 1,541 ] 38,596円 ( -218 円)
第2週 ▲2,494 1,562 853 [ ▲231 1,085 ] 38,814円 ( +130 円)
第1週 ▲1,986 ▲1,304 2,861 [ 354 2,507 ] 38,683円 ( +196 円)
5月 ―――
第5週 ▲1,126 ▲1,676 ▲887 [ ▲1,394 506 ] 38,487円 ( -158 円)
第4週 ▲1,139 ▲145 816 [ ▲711 1,527 ] 38,646円 ( -141 円)
第3週 383 472 ▲1,204 [ ▲1,964 759 ] 38,787円 ( +558 円)
第2週 2,636 89 ▲406 [ ▲1,121 714 ] 38,229円 ( -6 円)
第1週 1,745 247 ▲2,741 [ ▲2,537 ▲203 ] 38,236円 ( +301 円)
4月 ―――
第4週 2,159 1,666 ▲1,873 [ ▲1,468 ▲405 ] 37,934円 ( +866 円)
第3週 ▲5,924 ▲52 9,085 [ 4,507 4,578 ] 37,068円 ( -2455 円)
第2週 5,955 366 ▲2,053 [ ▲2,669 615 ] 39,523円 ( +531 円)
第1週 11,821 ▲7,887 6,347 [ 2,057 4,290 ] 38,992円 ( -1377 円)
※「信託銀行」は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など年金基金の売買動向を映すとされる部門。「個人・現金」は個人投資家による現物取引の売買動向、「個人・信用」は個人投資家による信用取引の売買動向。
※日銀が金融緩和策の一環として実施しているETF(上場投資信託)の買い入れは、ETFを組成する証券会社の自己売買部門を通じて買い入れているとみられる。