・ | 新株予約権型 |
・ | 目標募集額:1503万円、上限募集額:9018万円 |
・ | 事業会社/CVC出資実績あり |
・ | エンジェル出資実績あり |
・ | 2回目(1回目は5958万円調達) |
・ | 新株予約権者優待あり:アイスバッテリーフレッシュなどを提供 |
・ | 類似上場企業:農業総合研究所 <3541> [東証G]、ユーピーアール <7065> [東証S]、イー・ロジット <9327> [東証S]、アジアクエスト <4261> [東証G]、BeeX <4270> [東証G] |
環境にやさしいコールドチェーンを提供
(出典:FUNDINNO)
アイ・ティ・イーのパンカジ・ガルグ代表はインドの実業家一族出身で、インド国立大学でコンピュータサイエンスを専攻、1988年に来日しました。
インテルで半導体の設計やグローバルなマーケティング戦略に携わり、2005年にパソコンの冷却剤を開発した際、「この冷却剤を使って、世界の低温物流の課題解決に役立てられるのではないか」と考えるようになったそうです。
故郷インドの食料・医薬品輸送に関する問題を解決したいという思いもあり、2007年にアイ・ティ・イーを設立。環境にやさしいコールドチェーン(※)のソリューション提供を開始しました。
(※)食料や医薬品などを生産・輸送の過程で常に低温に保つ物流方式(同社注)
同社は、生鮮食品や医薬品の輸送段階で温度と品質を担保する「アイスバッテリー」や、輸送時の状況や温度のモニタリングができるIoTソリューションを開発・提供しています。
アイスバッテリーは輸送時に電源を使用せず、従来のドライアイスなどの冷媒と異なり、CO2を排出せず、環境にやさしいコールドチェーンを構築できるそうです。冷蔵・冷凍車の設備投資も不要で、さまざまな輸送に使用できるといいます。
国内最大手航空会社や大手貨物輸送企業など約250社との取引実績を基盤に、今後は、インド市場での展開を計画しています。
同社は「成長のための課題」「解決方法」として以下を挙げています。
【成長のための課題】
・中東やアフリカなど新たにコールドチェーンを導入したい国への展開
【解決方法】
・豊富な取引実績や既存のネットワークを生かし、各国物流業者とパイプラインを構築
前回からの進捗
(出典:FUNDINNO)
同社はインド政府協力の下、インド国営貨物鉄道最大手CONCOR社と業務提携を行い、同国でアイスバッテリーを使った実証実験を行ってきました。
CONCORはインド全土に64ターミナルと500社以上の物流パートナーを持つ巨大なマルチモーダル物流企業だといい、アイスバッテリーを実装した冷蔵コンテナを活用して鉄道輸送を行うことで、1000キロ以上離れた都市間での低温物流が可能になるほか、同コンテナは輸送のみならず、ポータブル冷蔵倉庫としても利用できるそうです。
「インド全域に低温物流が広がれば、日本国内の冷凍食品・加工食品メーカーにとっても、輸出のチャンスが広がると考えています」(アイ・ティ・イー)
(出典:FUNDINNO)
2023年3月期は、ほぼ計画通りの売上を達成。2024年3月期については、国内での取引実績は順調に拡大し、前回募集時の200社から約250社へと増加しています。
「特に物流インフラが不十分な離島部へ物流を提供する汽船会社や、ドライアイス0を目指す全国規模の食品チェーン会社がアイスバッテリー導入エリアを拡大し、安定かつ環境低負荷のコールドチェーンが広がっています」(同社)
一方で、取引企業数は増加したものの、売上高は計画比でビハインドに。事業計画作成時から急速に円安が進行したことで、海外から輸入していた原材料費が高騰、受注販売を意図的に見合わせたことが原因です。
「計画通りの事業成長を実現するための、リスクに強いサプライチェーン構築の重要性を再認識しました。そこで、現在はすでにインド市場における生産拠点を確保しております。今後は為替による業績見通しへの影響はほぼ抑えられると考えています」(同社)
持続的な物流システムで課題解決へ
(出典:FUNDINNO)
同社によると、世界では飢餓に苦しむ人々が約8億人いる一方、世界の生産される生鮮食品の約3分の1は、低温貯蔵や流通が不十分なため、必要とする消費者まで届かないと推定されているそうです。
また、熱に弱いワクチンや医薬品輸送でも、適切な温度管理が不可欠である一方、インドやアフリカ諸国ではコールドチェーンが未整備で、ワクチンが行き渡らないため、約2000万人の乳児が予防接種を受けられず、年間150万人の子どもが命を落としているといいます。
「既存のコールドチェーンでは、冷蔵・冷凍庫やコンプレッサーがCO2を排出するなど環境負荷が高く、持続的な物流システムではないと考えています」(同社)
市場の魅力・事業内容・ビジネスモデル・特徴
(出典:FUNDINNO)
世界のコールドチェーン物流市場は2023年の約2955億ドルから、2036年には現在の約3.5倍の約1兆569億ドルに成長すると見込まれているそうです。
特にインドは世界第2位の食料生産国であるにもかかわらず、コールドチェーンが未発達で、フードロスの多い国の一つだといいます。冷凍によるコンテナ輸送は、生産された生鮮食品の約3%にとどまり、成長の余地は大きいそうです。
CO2排出量削減や省エネが喫緊の課題であるEU、米国などの先進国でも、環境に配慮した物流ニーズが高まっているといいます。
一方で、国内の物流業界は「2024年問題」に直面、トラックドライバーの時間外労働上限が規制されることに伴い、輸送量の低下が懸念されており、「ドライバー不足が深刻化し、モノを届けられない・届けたくても時間がかかってしまう問題に対し、長時間新鮮なまま、貯蔵・輸送できるコールドチェーンが注目されています」(同社)。
「弊社は既に、物流インフラが不十分な離島部へ物流を提供する汽船会社との提携を実現しており、モーダルシフトによるコールドチェーン構築を進めています」(同社)
(出典:FUNDINNO)
同社は、生鮮食品や医薬品を輸送段階で常に低温に保つ「アイスバッテリー」を開発・提供しています。
アイスバッテリーは独自配合による特殊な保冷液を使った高機能保冷材で、冷凍庫で凍結後、専用の保冷ボックスやコンテナと併用することで、電源なしでマイナス50度からプラス25度の温度を維持できるそうです。
アイスバッテリーの保冷ボックスは、同じコンテナ内で異なる温度帯の混載が可能。また、使用時にCO2を排出しないため、鉄道・陸上・航空・海上などさまざまな運送手段で、環境への負荷を抑えながら長距離輸送することができるといいます。
これまで、国内最大手航空会社や大手貨物輸送企業など約250社の企業、自治体や大学での導入実績を有するほか、比較的少量の荷物を混載する農村や離島などでも、物流コストを抑えながら、安全な物流ルートを拡大できるようになっているそうです。
「これにより、安心・安全なコールドチェーンを世界中で展開し、生鮮食品や医薬品をエンドユーザーまで行き渡らせることを目指しています」(同社)
アイスバッテリーなどのハードプロダクトのほか、配送状況や温度をモニタリングできるIoTソリューションも展開。IoTセンサーとグローバルSIMによる、位置情報や温度計測、保冷ボックスの開閉、衝撃感知などのモニタリング機能があります。
「アイスバッテリーにネットワークとつながった温度センサーを実装することで、世界中を移動する輸送品の位置情報や温度などの常時モニタリングを可能にしました」(同社)
(出典:FUNDINNO)
同社は、低温物流機材の製造・販売、リース・レンタル、物流コンサルなどで収益化をしています。
今後展開するインドでは、コールドチェーンのインフラ整備や標準化の推進から取り組む計画で、これにより、同国市場で先行者優位を築きたい考えです。
インドなどのアジアやアフリカは零細農家が多く、1年のうちで一定の時期しか農作物が収穫できないため、保温設備への設備投資がほとんど進んでおらず、フードロスが多く発生しているといいます。
そこで、アイスバッテリーを搭載したコンテナを季節ごとに各地に転用することで、収穫時のフードロスを防ぎ、農産品を市場に届けることができるそうです。
「このようなサブスク型ビジネスモデルも、弊社のアイスバッテリーだからこそ実現できると考えています」(同社)
(出典:FUNDINNO)
同社は、国内最大手航空会社や大手貨物輸送企業など約250社との連携、インドにおける政府やCONCORとの協業による事業体制を強みとしています。
独自技術であるアイスバッテリーは、インドでも約40〜70%のCO2排出量を削減した上で、日本と同様に長時間、低温環境を保てることを証明できたそうです。
「弊社のアイスバッテリーを導入すれば、すぐに低温輸送を開始することができるため、冷凍車や冷蔵車などへの大規模な設備投資が不要で、輸送中は電力を必要としないため、ランニングコストの削減が可能であると考えています」(同社)
国内外で約30の特許と意匠権を取得しており、それらを基盤とした技術力を生かして、さまざまなプロダクトを開発・提供しています。
通常の冷蔵車やコンテナはコンプレッサーの冷風により、生鮮野菜が乾燥するという課題がありましたが、アイスバッテリーの冷気は荷室全体を満遍なく冷やすため、鮮度の高い状態でエンドユーザーまで届けることができるそうです。
「一般的な保冷剤は24時間持てば品質が高いと言われています。弊社のアイスバッテリーで果物を輸送して、コンテナの庫内温度を測定した結果、約3日間にわたり、一定の温度に保つことができました」(同社)
航空機によるワクチン輸送時も、コンテナ内に27個の温度センサーを設置し、輸送中の温度変化を約72時間モニタリングしたところ、各拠点でコンテナを開閉したにもかかわらず、内部の温度変化は2〜8度の範囲内に保たれたそうです。
「アイスバッテリーの低温管理機能は、輸送手段によらず、一定に保たれることが示されています。こうした特徴は、他の手段では実現が難しいものと考えています」(同社)
今後の成長に向けて
(1)2025年よりIPO準備開始、2028年IPOを計画
(出典:FUNDINNO)
(2)短期計画
まずは、インドでアイスバッテリーの普及を図り、CONCORが保有するターミナルへのコンテナ設置を早期に実現したい考えです。
同時に、現地での生産を軌道に乗せることで安定供給を行う計画です。
「さらに、日本で実証したアイスバッテリー搭載電気自動車を実用化することで、物流網が未発達のインド農村地域への長距離輸送が可能となり、環境負荷の低いラストワンマイル配送を実現したいと考えています」(同社)
日本では、アイスバッテリー内蔵ジャケットなど、一般消費者向け製品の開発や販売を開始しており、インド向けの販売も開始する計画です。
「昨今の物価上昇やエネルギー供給への懸念から、繰り返し使用可能な環境負荷の低い商品はインドでも十分に受け入れられると考えています」(同社)
(3)中長期計画
インドを皮切りにUAEやエジプトでも、アイスバッテリーによる高品質なコールドチェーン提供への準備を始めているそうです。
エジプトでは、政府系研究機関のエジプト科学研究技術アカデミー(ASRT)と契約済みで、今後は社会実装に向けて動き出すフェーズに到達しており、「今後、UAEやエジプトに拠点ができれば、航空輸送で約2時間でアフリカの広域がカバーできます。さらに、欧州にも進出するための基盤が整うと考えています」(同社)。
(4)2028年に「アイスバッテリーシステム関連商品」の年間レンタル数約35万個を計画
(出典:FUNDINNO)
株主構成
同社は事業会社などから出資を受けています。
類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)
・農業総合研究所 <3541> [東証G]
・ユーピーアール <7065> [東証S]
・イー・ロジット <9327> [東証S]
・アジアクエスト <4261> [東証G]
・BeeX <4270> [東証G]
新株予約権者優待
【基準日】
毎年3月末日
【優待内容】
「アイスバッテリー」の一般消費者向け製品を提供する。
・新株予約権44個以下:アイスバッテリーフレッシュ1個
・同45〜90個:アイスバッテリーフレッシュ1個+バックパックポーチ1個
・同91個以上:アイスバッテリーフレッシュ1個+バックパックポーチ3個
【申し込み方法】
・基準日経過後、申し込み可能の案内をする。その際、同社メールアドレス(info@ithrue.com)まで、「新株予約権者優待制度を利用する」旨と希望商品を知らせる。
【注意事項】
・1人、1年に1回限りの優待。
・優待内容は変更や廃止になる場合がある。
発行者・募集情報
■募集新株予約権の発行者の商号及び住所、資本金等
アイ・ティ・イー株式会社
東京都千代田区丸の内一丁目5番1号新丸の内ビル
資本金:110,000,000円(2024年5月22日現在)
発行済株式総数:20,200株(同)
発行可能株式総数:10,000,000株
設立日:2007年8月2日
決算日:3月31日
■本新株予約権の発行者の代表者
代表取締役 パンカジ・クマール・ガルグ
■本新株予約権の数(以下の個数を上限とする)
9,018個
■本新株予約権の払込金額
1個あたり 10,000円
■投資金額のコース及び個数
90,000円コース(9個)
180,000円コース(18個)
270,000円コース(27個)
360,000円コース(36個)
450,000円コース(45個)
900,000円コース(90個)
1,800,000円コース(180個)
2,700,000円コース(270個)
3,600,000円コース(360個)
4,500,000円コース(450個)
9,000,000円コース(900個)
9,990,000円コース(999個)
※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、450,000円コース(45個)までしか申し込みできない。特定投資家口座からの申し込みの場合、9,990,000円コース(999個)を上限とする。
■申込期間
2024年7月5日〜7月18日
■目標募集額
15,030,000円(上限募集額 90,180,000円)
※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は72,090,000円とする。
■払込期日
2024年8月13日
■資金使途
・目標募集額達成時の資金使途内訳
調達額1,503万円を以下の目的に充てる予定。
開発費 1,000万円
人件費 255万円
手数料 247万円
・上限募集額達成時の資金使途内訳
上記に追加し、調達額7,515万円(目標募集額1,503万円と上限募集額9,018万円との差額)を以下の目的に充てる予定。
開発費 1,000万円
製品製造費 3,000万円
人件費 2,275万円
手数料 1,239万円
■連絡先
アイ・ティ・イー株式会社
電話番号:03-6206-3101
メールアドレス:info@ithrue.com
※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。
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