株価指数先物【寄り前】 様子見姿勢のなかでヘッジに絡んだロング優勢

大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 39210 +210 (+0.53%)
TOPIX先物 2788.0 +7.5 (+0.26%)
シカゴ日経平均先物 39185 +185
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)

10日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が上昇。11~12日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)や12日発表に発表される5月の消費者物価指数(CPI)を控え、全体としては様子見姿勢の強い展開だった。また、10日は主要な経済指標の発表もなく、手掛かり材料に欠ける面もあった。そのなかで、エヌビディア<NVDA>や5月の売上高(速報値)が過去最高を更新したと発表した台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>など、ハイテク株の一角が買われた。S&P500業種別指数は公益事業、小売、半導体・同製造装置が上昇した一方で、テクノロジー・ハード・機器、自動車・同部品、食品・飲料・タバコが下落。

シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比185円高の3万9185円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比90円安の3万8910円で始まり、一時3万8820円まで売られた。米国市場の取引開始後にロングが強まりプラスに転じると、中盤にかけて3万9180円まで買われる場面も見られた。買い一巡後は3万9090円~3万9180円辺りで保ち合うなか、終盤にかけて一時3万9240円まで買われ、3万9210円とナイトセッションの高値圏で取引を終えた。

日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から買い先行で始まることになりそうだ。ナイトセッションの開始直後は抵抗線として意識されていた75日移動平均線(3万8940円)水準での攻防をみせていたが、米国市場の取引開始後にこれを上放れ、終盤にかけてはボリンジャーバンドの+2σ(3万9310円)に接近する形となった。また、4月半ば以降、上値を抑えられていた13週線(3万8840円)を明確に突破してきたことで、週足の+1σが位置する3万9800円とのレンジに移行する展開が意識されて、ヘッジ対応のカバーが入りやすいだろう。

昨日の東証プライム市場の売買高は13億2900万株ほどと薄商いだったが、先物市場では日経225先物、TOPIX先物いずれも上位10社の商いが膨らんでいた。週末に控える6月限の先物・オプション特別清算指数算出(SQ)を前に、限月交代に伴うロールオーバーの動きと考えられる。日経225先物は足もとで3万8500円~3万9000円辺りのレンジでの推移が続くなか、このレンジを上放れてきたことでヘッジ対応のロングが強まり、スキャルピング中心ながらこれを狙ったロングが入りそうだ。

FOMCの結果およびパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見内容がネガティブ視される可能性もあり、積極的にポジションを傾けてくる動きは限られるものの、ヘッジに絡んだ商いによって下値の堅さは意識されそうである。そのため、オプション権利行使価格の3万8800円から3万9500円辺りのレンジを想定しておきたい。

10日のVIX指数は12.74(前日は12.22)に上昇した。一時13.28まで切り上がり、12.79辺りに位置する25日線を上回る場面もみられたが、その後の低下で同線を下回って終えた。やや神経質にさせるものの、VIX指数は低下傾向をみせている。重要イベント前のロング解消も入りやすいだろうが、リスク選好の動きとみておきたい。

なお、昨日のNT倍率は先物中心限月で14.02倍に低下した。前場に一時13.99倍まで下げる場面もみられ、ややTOPIX型優位の展開だった。しかし、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、ファーストリテイリング <9983> [東証P]が日経平均型を牽引するなか、後場に入り、それまで弱い値動きが目立っていた東京エレクトロン <8035> [東証P]などハイテク株の一角にも買いが強まり、一時25日線が位置する14.04倍を付けた。米国市場でハイテク株の一角が買われた流れを受け、リバランスの動きのなかで、NTショートの巻き戻しに向かわせそうだ。