10日の東京株式市場は強弱観対立のなか、日経平均株価は前週末終値近辺でもみ合う展開が想定される。前週末の欧州株市場は高安まちまちながらドイツ、フランスなど主要国の株価指数は下値を探る展開となった。前週はECB理事会でECBが4年9カ月ぶりの利下げを決めたことが追い風となったが、前週末は米国の早期利下げに対する不透明感が再び強まり利食いを誘発した。米国株市場では注目された5月の米雇用統計の内容が労働市場の強さを示す内容となったことで、米長期金利が4.4%台まで上昇しマーケット心理を冷やす格好となった。雇用統計は非農業部門の雇用者数の伸びが27万2000人と事前コンセンサスを大幅に上回ったほか、平均時給の伸び率も0.4%と予想よりも大きかった。FRBによる9月利下げのシナリオが後ずれするとの見方が再燃し、全体相場の上値を重くしている。しかし、一方で景気減速への懸念が後退したことをポジティブ視する見方もあり、下値では押し目買いニーズも強く、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに下げ幅は限定的だった。東京市場では米雇用統計が想定外の強い数字だったことは警戒されるものの、米株市場が思いのほか底堅かったことや、外国為替市場で円安方向に振れていることなどを拠りどころに下値を売り込む動きは想定しにくい。今週は日米で金融政策決定会合が行われることもあり、目先は一方向にポジションを傾けにくいという思惑も漂う。
7日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比87ドル18セント安の3万8798ドル99セントと4日ぶり反落。ナスダック総合株価指数は同39.995ポイント安の1万7133.126だった。
日程面では、きょうは1~3月期国内総生産(GDP)改定値、4月の国際収支、5月の貸出・預金動向、5月分の対外・対内証券売買契約、4月の特定サービス産業動態統計、5月の景気ウォッチャー調査などが発表される。また、この日はアジアでは香港市場、中国市場(上海・深)、台湾市場が休場となるほか、豪市場も休場となる。