「エヌビディア祭り」のあと~半導体製造「後工程」は夏祭りを期待【フィリップ証券】

半導体大手エヌビディア<NVDA>の株価は5/22の決算発表後も上昇を続けている。日本株では「エヌビディア祭り」で半導体株が一様に買われる局面は既に終わり、生成AI(人工知能)への恩恵が大きいとして半導体を最終製品に仕上げる「後工程」関連銘柄に人気が偏る傾向もみられる。

後工程に欠かせない技術の中でも、半導体の切断・研削装置に係るTSV(シリコン貫通電極)に強いディスコ<6146>、製品出荷前の試験装置に係るアドバンテスト<6857>、樹脂封止装置のTOWA<6315>など主力銘柄の他にも、組立・検査受託でチップレット技術に強いアオイ電子<6832>、HBM(広帯域メモリー)で世界シェア首位の韓国SKハイニクス代理店として同社製品取り扱いシェアの高いシンデン・ハイテックス<3131>などの中小型株も注目されよう。

【タイトル】

関連銘柄

シンフォニアテクノロジー<6507>

・1949年に神戸製鋼所の再建整備計画に基づいて「神鋼電機」として独立。モーション機器、パワーエレクトロニクス機器、クリーン搬送システム、エンジニアリング&サービスの4事業セグメントを営む。

・5/7発表の2024/3通期は、売上高が前期比5.7%減の1026億円、営業利益が同13.9%減の100億円。事業別受注高は、モーション機器が同1.3%増の428億円、エンジニアリング&サービスが同4%増の219億円と増収に対し、クリーン搬送システムが同31%減の197億円、パワーエレクトロニクスが同27%減の242億円。

・2025/3通期会社計画は、売上高が前期比7.2%増の1100億円、営業利益が同14.9%増の115億円、年間配当が同5円増配の75円。モーション機器で防衛関連の堅調推移が見込まれるなか、中期経営計画で半導体製造装置向けに搬送機器、「後工程」自動化対応、ロボットやアクチュエータ開発など半導体分野を成長ドライバーと位置付ける。高い技術力を生かした最先端医療分野への参入に関しても、iPS細胞など生きた細胞の自動培養装置の販売も開始した。

アオイ電子<6832>

・1962年に香川県高松市で和光工業設立。自動車修理・塗装から電子部品製造へ事業転換。集積回路(ICや光学センサー、ウエハレベルパッケージ等)及び機能部品(各種センサー等)の2事業を営む。

・5/10発表の2024/3通期は、売上高が前期比8.8%減の339億円、営業損益が前期の1.58億円から▲15.48億円へ赤字転落。中国経済停滞による電子部品の市況回復の鈍さが響き減収に加え、貴金属ほか原材料価格高騰が響いた。売上比率88%の集積回路が同7%減収、機能部品が18%減収。

・2025/3通期会社計画は、売上高が前期比7.5%増の365億円、営業利益が10.50億円へ黒字転換、年間配当が同横ばいの54円。従来1つのチップに集積した大規模回路を複数の小さなチップに個片化して基板上に載せてパッケージ化する「チップレット」集積技術は、同社にも在籍する東工大特任教授の栗田洋一郎氏が開発。官民共同チップレット集積プラットフォームの中心的役割を担う。昨年12/21に首相官邸で開催された「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」の後、岸田首相が同社の取り組みに触れて、「地方で投資を行い、地域経済を牽引する存在である中堅企業が、持続的な賃上げに貢献できるよう、支援を強化いたしました」と言及。国策銘柄としても注目されよう。

フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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