ただし、日米長期金利の上昇基調を背景に、30日には25日線を割り込み、ボリンジャーバンドの-2σ水準である3万7610円まで急落。週末31日は長期金利の上昇が一服したことから買い戻される形で3万8500円近辺まで切り返しており、前日の下落分を吸収して終えた。ナイトセッションでは、4月の米個人消費支出(PCE)物価指数の結果を受けて、米長期金利が低下したことから、一時3万8750円まで買われ、25日線を上回って終えた。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ判断で重視するPCE物価指数は、食品とエネルギーを除くコア価格指数が前月比0.2%上昇し、市場予想と一致した。高インフレが続くとの懸念が和らぎ、米長期金利の低下につながった。PCEの結果を受けて、市場ではFRBが年後半に利下げを実施するとの観測が維持される形となった。
今週も米国では3日に5月ISM製造業景気指数、4日に4月JOLTS求人件数、5日に5月ADP雇用統計、5月ISM非製造業景気指、7日に5月雇用統計などの発表が予定されている。これら経済指標の発表を受けた金利動向に振られやすい需給状況になりそうだ。
一方で、先週は米当局者によるタカ派発言が相次いだことで長期金利が上昇し、相場の変動要因になっていたが、6月11~12日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にしたブラックアウト期間(中銀関係者による金融政策に関する発言を禁じた期間)に入る。このため、相場の波乱要因が減ることになる。
また、31日の東証プライム市場の売買高は、前日の17億株台から29億株超に膨れていた。月末のドレッシング買いや自律反発狙いの動きがあったと考えられるが、PCE物価指数の発表を前にしたショートカバーも影響したとみられる。翌週にFOMC、日銀の金融政策決定会合を控えることから、重要イベントを前にしたショートカバーが相場全体の底堅さにつながる可能性はあろう。
日経225先物は30日に-2σまで売られた後に-1σ水準まで下落幅を縮め、31日は-1σを支持線としたリバウンドによって25日線を捉えた。31日の取引終了後のナイトセッションでは25日線を支持線に75日線を捉える値動きだった。収斂をみせていたバンドは再び広がりをみせつつあり、日米金融イベントに向けてトレンドが出やすいタイミングが近づいてきた。また、一目均衡表では雲がねじれる局面にきているほか、遅行スパンが上方シグナルを発生させてきた。
そのため、25日線を支持線に+2σとのレンジとなる、オプション権利行使価格の3万8500円から3万9250円のレンジを想定する。75日線辺りに位置する権利行使価格の3万8875円を捉えてくる局面では、+3σ水準の3万9625円の権利行使価格が意識されやすく、ショートカバーを交えたロングが強まろう。一方で、25日線水準での攻防から同線が抵抗線に変わる局面では、3万8000円水準を試す展開も意識しておきたい。
31日のVIX指数は12.92(前日は14.47)に低下した。長期金利の上昇基調が続き、米利下げ開始時期の後ずれが警戒されるなか、75日線および200日線を上回る場面もあったが、大きく低下し、25日線を下回ってきた。結果としては200日線が抵抗線として機能する形であり、ショートカバーが意識されやすいだろう。
なお、先週末のNT倍率は先物中心限月で13.88倍に低下した。先週は東京エレクトロン <8035> [東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の弱さが目立つ一方で、週後半にはPBR1倍割れなどバリュー株が物色され、相対的にTOPIX型優位の展開だった。200日線が抵抗線として機能する形で昨年12月以来の水準まで低下しており、方向性としては昨年下旬に付けた13.55倍辺りを意識したトレンド形成となる。ハイテク株への物色がみられるまでは、NTショートによるスプレッド狙いが有効になりそうだ。
5月第4週(5月20日-24日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では3週連続の売り越しであり、売り越し額は269億円(5月第3週は1353億円の売り越し)だった。なお、現物は1139億円の売り越し(同383億円の買い越し)と5週ぶりの売り越しであり、先物は869億円の買い越し(同1737億円の売り越し)と3週ぶりに買い越した。個人は現物と先物の合算で374億円の買い越しで、5週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で430億円の売り越しとなり、6週ぶりの売り越しだった。
経済スケジュールでは、6月3日に1-3月期法人企業統計調査、中国5月財新製造業PMI、米国5月ISM製造業景気指数、4日に米国4月製造業新規受注、米国4月JOLTS求人件数、5日に中国5月財新サービス業PMI、米国5月ADP雇用統計、米国5月ISM非製造業景気指数、6日にECB(欧州中央銀行)政策金利、米国4月貿易収支、ラガルドECB総裁記者会見、7日に4月全世帯家計調査、4月景気動向指数、中国5月貿易収支、米国5月雇用統計、米国4月卸売売上高、米国4月消費者信用残高などが予定されている。
――プレイバック・マーケット――
●SQ値
06月限 日経225 32018.38 TOPIX 2211.13
07月限 日経225 32484.24 TOPIX 2245.68
08月限 日経225 32013.86 TOPIX 2278.68
09月限 日経225 32921.39 TOPIX 2370.93
10月限 日経225 32360.91 TOPIX 2326.75
11月限 日経225 32454.88 TOPIX 2318.99
12月限 日経225 32639.57 TOPIX 2343.77
01月限 日経225 36025.97 TOPIX 2513.46
02月限 日経225 37018.07 TOPIX 2563.93
03月限 日経225 39863.92 TOPIX 2716.15
04月限 日経225 39820.59 TOPIX 2766.89
05月限 日経225 38509.47 TOPIX 2728.75
◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
24/06 05月31日 37940 38540 37940 38490 +490
24/06 05月30日 38540 38550 37610 38000 -490
24/06 05月29日 38870 39150 38480 38490 -360
24/06 05月28日 38900 38990 38760 38850 -80
24/06 05月27日 38590 38930 38570 38930 +330
◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
24/06 05月31日 2722.0 2777.5 2722.0 2772.0 +46.0
24/06 05月30日 2741.5 2743.0 2695.5 2726.0 -13.5
24/06 05月29日 2772.0 2785.0 2738.0 2739.5 -31.5
24/06 05月28日 2768.5 2773.0 2759.5 2771.0 +1.5
24/06 05月27日 2740.5 2769.5 2738.5 2769.5 +27.5
●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
05月31日(06月限) 38635 +145
05月30日(06月限) 38230 +230
05月29日(06月限) 38315 -175
05月28日(06月限) 38960 +110
※前日比は大阪取引所終値比
□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
05月24日 3378億円 -145億円 2兆5619億円 +6243億円
05月17日 3524億円 -18億円 1兆9375億円 +534億円
05月10日 3542億円 -793億円 1兆8841億円 -1178億円
05月02日 4335億円 +158億円 2兆0020億円 -100億円
04月26日 4176億円 -28億円 2兆0120億円 -2864億円
□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
05月29日 7511万株 +75万株 9億2127万株 -391万株
05月28日 7435万株 -38万株 9億2518万株 +873万株
05月27日 7474万株 -195万株 9億1644万株 -941万株
05月24日 7669万株 +216万株 9億2586万株 +2554万株
05月23日 7453万株 -239万株 9億0031万株 +5894万株
05月22日 7693万株 -165万株 8億4137万株 +1億2114万株
05月21日 7858万株 -7万株 7億2022万株 -336万株
05月20日 7866万株 -120万株 7億2359万株 +1841万株
05月17日 7986万株 +55万株 7億0518万株 +108万株
05月16日 7931万株 -21万株 7億0409万株 -285万株
05月15日 7953万株 -146万株 7億0694万株 +1043万株
05月14日 8099万株 -31万株 6億9651万株 +886万株
05月13日 8131万株 -13万株 6億8764万株 +77万株