来週のドル円相場は、日米金融政策を巡る思惑が交錯するなか値動きが大きくなる可能性がある。予想レンジは1ドル=155円50銭~158円50銭。
6月11~12日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催が予定されるなか、日本時間今晩に発表される米4月個人消費支出(PCE)デフレーターや3日の米5月ISM製造業景況感指数、7日の米5月雇用統計の結果が関心を集めている。足もとでは米1~3月期実質国内総生産(GDP)改定値が速報値から下方修正されたことで米利下げ観測が再燃しているが、インフレ圧力の根強さが改めて意識されれば米金利上昇・ドル高の流れが鮮明となりそうだ。一方で、日銀が6月13~14日に開く金融政策決定会合を前に、市場でどのような思惑が浮上するかも焦点となる。5月27日の講演では植田和男総裁が「インフレ予想をゼロ%から押し上げることには成功したように思う」と述べ、内田真一副総裁は「過去25年間の金融政策運営におけるデフレとゼロ金利制約との闘いの終焉(しゅうえん)が視野に入った」との見解を示し、政策正常化を一段と進める構えをみせた。日銀が早期に追加利上げや国債購入減へと動くとの見方を背景に、国内金利が一段と上昇した場合は円買いが入りやすくなるだろう。
なお、来週に海外で発表される主な経済指標は、3日に5月の米製造業購買担当者(PMI)改定値、4日に4月の米雇用動態調査(JOLTS)求人件数と4月の米製造業新規受注、5日に5月の米ADP雇用統計と5月の米ISM非製造業景況感指数、6日に1~3月期の米非農業部門労働生産性・改定値と前週分の米新規失業件申請件数、7日に5月の中国貿易収支と1~3月期のユーロ圏GDP確定値など。国内では5日に4月の毎月勤労統計調査、7日に4月の全世帯家計調査が公表される予定となっている。また、6日には欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。