株価指数先物【寄り前】 徐々に+1σと+2σとのレンジでの推移を意識

大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 38950 +100 (+0.25%)
TOPIX先物 2770.0 -1.0 (-0.03%)
シカゴ日経平均先物 38960 +110
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)

28日の米国市場は、NYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が金融当局の政策スタンスについて、利上げを実施する確率はかなり低いが、選択肢から排除したわけではないとの考えを示した。米利下げ開始時期が後ずれするとの見方が重荷となった。5月の米消費者信頼感指数は102.0に上昇し、予想(96.0程度)を上回り、1年後の予想インフレ率も上昇した。米長期金利は4.5%台まで上昇する場面も見られた。そのなかで、エヌビディア<NVDA>が大幅高となるなど半導体株の一角が買われ、投資家のセンチメントを支えた。S&P500業種別指数は半導体・同製造装置、エネルギー、メディアが上昇した半面、商業サービス・用品、自動車・同部品、医薬品・バイオテクノロジーが下落した。

シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比110円高の3万8960円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは日中比20円高の3万8870円で始まり、3万8950円まで買われた。その後は軟化し、米国市場の取引開始直後には3万8760円まで売られ、下落に転じる場面も見られた。ただし、中盤にかけて買い戻され、一時3万8990円まで買われており、買い一巡後は3万8910円~3万8990円で保ち合いを継続。3万9000円を捉えることができなかったこともあり、上値の重さが嫌気される形で3万8820円と再び下落に転じる場面もあったが、終盤にかけて切り返しており、3万8950円でナイトセッションの取引を終えた。

日経225先物はオプション権利行使価格の3万8750円から3万9000円のレンジ内での推移だった。小幅なレンジではあるが、75日移動平均線(3万8800円)とボリンジャーバンドの+1σ(3万8900円)水準での底堅さがみられた。シカゴ先物にサヤ寄せする形から買い優勢で始まるとみられるが、買い一巡後も同水準が支持線として意識されることになりそうだ。

3連休明けの米国市場は、カシュカリ総裁の発言が重荷となったが、6月11~12日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されることから、ブラックアウト期間(中銀関係者による金融政策に関する発言を禁じた期間)入りを前に、今週は要人発言が集中する可能性がある。引き続き米当局者の発言に振られやすい状況だろう。

一方で、イーロン・マスク氏が設立したAIスタートアップ、xAIが60億ドル(約9400億円)を調達したことを明らかにした。エヌビディアの半導体を購入し、業績拡大に寄与するとの見方からエヌビディアは7%近く上昇。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>やマイクロン・テクノロジー<MU>などに買いが波及しており、指数インパクトの大きい値がさハイテク株への支援材料になりそうだ。

日経225先物は徐々にではあるが、+1σと+2σ(3万9370円)によるレンジでの推移が意識されてくることが期待される。そのため、オプション権利行使価格の3万8875円から3万9375円のレンジを想定する。3万9000円接近で上値の重さが意識されるようであれば、3万8750円から3万9000円とし、レンジ下限レベルでは押し目狙いのロングでの対応に向かわせよう。

28日のVIX指数は12.92(24日は11.93)に上昇した。一時13.44まで上げており、同水準に位置する25日線にタッチする場面も見られた。米利下げ期待の後退によってNYダウが下落するなか、不安要因になりそうだが、75日線(14.34)、200日線(14.65)辺りを捉えてくるまでは、リスク選好の流れが期待される。

なお、昨日のNT倍率は先物中心限月で14.02倍に低下した。14.06倍と小幅に上昇して始まったが、指数インパクトの大きいレーザーテック <6920> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]が日経平均型の重荷となった。本日は米半導体株が買われた流れを受けてリバランスが入ろうが、下向きで推移する25日線(14.08倍)が上値抵抗線として意識されてくるようだと、NTショートを巻き戻す動きは限られそうだ。