株価指数先物 【週間展望】 ―ヘッジ対応に絡んだショートカバーが相場を押し上げる

「ヘッジ対応に絡んだショートカバーが相場を押し上げる」

今週の日経225先物は、週末に先物オプション特別清算指数算出(SQ)を控えて、ヘッジ対応に絡んだショートカバーが相場を押し上げる需給状況になりそうだ。2日の米国市場ではNYダウが今年最大の上げ幅を記録、ナスダックは昨年8月の戻り高値を突破し、昨年4月半ば以来となる1万3200ポイントを回復した。

米連邦政府の債務上限法案が上下両院で可決。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の判断材料とする5月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比33万9000人増と市場予想(19万人増)を大きく上回った。一方で、失業率は3.7%に上昇し予想(3.5%)を上回り、平均時給の前年同月比の上昇率は市場予想を下回った。この結果を受けて、6月FOMC(連邦公開市場委員会)では利上げを見送るとの見方が強まり、一段と相場を押し上げた。

2日のシカゴ日経平均先物は日中大阪比415円高の3万1965円だった。日経225先物はナイトセッションで一時3万2010円まで買われ、3万1970円と高値圏で終えており、週明けの東京市場はこれにサヤ寄せする格好で、ギャップスタートで始まることになろう。

先週の日経225先物は、5月31日には月末のリバランスとみられる売りが強まり、一時3万790円まで急落し、ナイトセッションでは3万640円まで下落した。これによりボリンジャーバンドの+1σを下回る場面もあったが、翌日の日中取引で3万1000円を回復し、3万1000円割れ水準での押し目買い意欲の強さが確認された。また、切り上がりをみせるボリンジャーバンドの+1σと+2σによるレンジに沿ったトレンドを継続するなか、2日の取引終了後のナイトセッションで5月29日の高値3万1670円を突破して、+2σを捉えてきた。

日経225先物は、過度に過熱感を高めることなく上昇基調を維持している。一気に+3σを上回ってくる場面があれば、いったんはピーク感も意識されようが、バンド内での推移ではピーク感が出にくい。そのため、ヘッジに絡んだショートカバーが断続的に入りやすい。なお、+2σが3万2190円まで切り上がり、+3σは3万3180円まで上昇している。

+2σに沿ったトレンド形成が意識されるなか、オプション権利行使価格の3万1500円から3万2000円のレンジを上放れてくるようだと、SQに絡んだヘッジ対応も加わり、+2σと+3σによるレンジに移行する可能性も高まりそうだ。一気に出来高を伴っての上昇加速となるまでは、過熱感を警戒しつつもショートポジションを積み上げる戦略は避けたい。

恐怖指数と呼ばれるVIX指数は14.60に下落し、2020年2月半ば以来の15.00を下回った。同指数は、地銀破綻による信用リスクが高まった局面でも、上昇こそしたものの、過去の信用不安が高まった時と比べ大きな上昇とはならず、センチメントを反映していないといった見方があった。そのため、短期VIXに着目する投資家が増えているが、その短期VIXも11.90に低下しており、リスク選好へと向かいやすいだろう。

先週のNT倍率は先物中心限月で14.44倍だった。5月29日に14.54倍まで上昇した後は14.50倍を挟んだ高値圏で保ち合いを継続。週末は東京エレクトロン <8035> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]が上げ一服となった影響により低下しているが、前週比ではほぼ変わらずである。今週は前週末の米国市場の流れを受けて、景気敏感株などの買い戻しが強まりやすく、NT倍率はやや低下を想定しておきたい。とはいえ、日経平均株価がバブル後の戻り高値を更新するなか、日経平均型のインデックス買いが入りやすく、NTショートに傾けるというよりは、NTロングの利益確定に伴うリバランスが中心だろう。ボリンジャーバンドの+1σは14.38倍辺りに位置しており、同水準に接近する局面ではNTロングの組成に向かわせよう。

5月第4週(5月22日-26日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では8週連続で買い越しており、買い越し額は5954億円(5月第3週は1兆2995億円の買い越し)だった。なお、現物は3816億円の買い越し(同7476億円の買い越し)と9週連続の買い越しであり、先物は2137億円の買い越し(同5518億円の買い越し)と4週連続で買い越している。個人は現物と先物の合算で429億円の買い越しで、4週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で2735億円の売り越しとなり、8週連続の売り越しだった。

経済スケジュールでは、5日に中国5月財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)、米国5月ISM非製造業景況指数、米国4月製造業新規受注、米国4月耐久財受注確定値、6日に4月全世帯家計調査、4月毎月勤労統計調査、7日に4月景気動向指数、中国5月貿易収支、米国4月貿易収支、8日に1-3月期GDP改定値、5月景気ウオッチャー調査、米国4月卸売売上高、9日に中国5月消費者物価指数、中国5月生産者物価指数などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
06月限 日経225 28122.81 TOPIX 1955.38
07月限 日経225 26659.58 TOPIX 1890.16
08月限 日経225 28525.62 TOPIX 1963.05
09月限 日経225 28253.40 TOPIX 1957.76
10月限 日経225 26666.31 TOPIX 1885.58
11月限 日経225 28225.86 TOPIX 1978.52
12月限 日経225 27576.37 TOPIX 1945.27
01月限 日経225 26325.21 TOPIX 1900.71
02月限 日経225 27779.75 TOPIX 1986.19
03月限 日経225 28377.34 TOPIX 2047.32
04月限 日経225 28519.43 TOPIX 2019.76
05月限 日経225 29235.08 TOPIX 2090.33

◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
22/03 06月02日 31230 31550 31180 31550 +400
22/03 06月01日 30910 31200 30640 31150 +300
22/03 05月31日 31300 31450 30790 30850 -530
22/03 05月30日 31370 31390 31060 31380 +80
22/03 05月29日 30980 31670 30930 31300 +340

◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
22/03 06月02日 2153.5 2183.5 2145.0 2183.5 +34.0
22/03 06月01日 2131.0 2151.5 2112.5 2149.5 +23.5
22/03 05月31日 2157.0 2165.0 2123.5 2126.0 -35.0
22/03 05月30日 2165.5 2167.0 2143.0 2161.0 -0.5
22/03 05月29日 2147.0 2182.5 2144.0 2161.5 +17.0

●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日大阪比
06月02日(6月限) 31965 +415
06月01日(6月限) 31400 +250
05月31日(6月限) 30780 -70
05月30日(6月限) 31145 -235
05月29日(6月限) 休場
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
05月26日 1107億円 +204億円 1兆1946億円 +768億円
05月19日 902億円 -31億円 1兆1177億円 +1491億円
05月12日 934億円 -2480億円 9686億円 -511億円
05月02日 3414億円 -432億円 1兆0198億円 +986億円
04月28日 3847億円 -232億円 9211億円 -504億円
04月21日 4079億円 -207億円 9715億円 +235億円
04月14日 4286億円 +1445億円 9480億円 -48億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
05月31日 3885万株 +530万株 4億3117万株 +577万株
05月30日 3354万株 +52万株 4億2540万株 -440万株
05月29日 3302万株 +685万株 4億2981万株 -673万株
05月26日 2616万株 -5万株 4億3654万株 +1871万株
05月25日 2622万株 +149万株 4億1783万株 +49万株
05月24日 2473万株 -111万株 4億1733万株 -142万株
05月23日 2585万株 +93万株 4億1875万株 +250万株
05月22日 2492万株 +425万株 4億1625万株 +649万株
05月19日 2067万株 -245万株 4億0975万株 -1835万株
05月18日 2312万株 -32万株 4億2810万株 +2228万株
05月17日 2345万株 +1450万株 4億0582万株 +2741万株
05月16日 894万株 -1478万株 3億7840万株 -1289万株
05月15日 2372万株 +128万株 3億9130万株 +2146万株

■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
【2022年】
1月14日 701億円
1月25日 701億円
2月14日 701億円
3月07日 701億円
4月07日 701億円
5月19日 701億円
6月13日 701億円
6月17日 701億円
12月2日 701億円
【2023年】
3月13日 701億円
3月14日 701億円